2022年10月23日日曜日
2022年7月30日土曜日
特別展「最澄と天台宗のすべて」⑪(長源寺薬師如来)
この展覧会通じてのテーマとして「最澄自刻の薬師如来はどのよな姿だったか」というのがある。根本中堂に今も祀られていると伝えられるが絶対秘仏のため誰も見たことない。のちの時代の天台寺院で多くの模刻像が造られたが、それぞれ個性が出ており見ごたえがあった。ニコニコ美術館で淺湫学芸員が説明していたが、仏像の螺髪は通常互い違いに彫られるがこの仏像は一直線に彫られており、そこが自刻の薬師如来らしいいとの説明だった。実際の仏像は150センチ余りの堂々とした体躯の仏像だった。最澄自刻の薬師如来は朱衣金体だったと伝えられるが、この仏像は漆箔で覆われている。長源寺は京都府岩倉のお寺なので京博ならではの仏像だろう。今後も京博の展覧会は注目していきたい。
2022年7月8日金曜日
特別展「最澄と天台宗のすべて」⑩(横川中堂の聖観音)
初めて比叡山を訪れたのは2014年の秋だった。その際、比叡山山内を走るバスで横川中堂に向かい、目に鮮やかな紅葉の中、お堂の奥のガラスケースに安置している聖観音に参拝した。京博開催の「最澄と天台宗のすべて」展に行こうと思ったきっかけは東京で出展されないこの聖観音を間近に鑑賞できるまたとない機会だったからだ。京博1Fの仏像コーナー多くの仏像とともにガラスケースに入った聖観音を拝した。以前は間近に拝めなかった仏像の愛らしい表情に魅了された。左手で未敷蓮華を執り、その蓮華に指を捻じた右手をそえて、花弁を開こうとする姿の観音像は全国天台寺院で見られるがその根本像である。脇侍に毘沙門天を付けたのが円仁、不動明王を鬼大師こと良源が付け加えて三尊形式にしたとのこと。円仁安置の当初像とも伝えられるが定朝風の彫りの浅い穏やかな作風は平安時代後期のものと考えられる。帰りに聖観音の絵葉書と京博お馴染みの聖観音全身像の「手拭い」を購入して大満足して会場をあとにした。
2022年6月25日土曜日
特別展「最澄と天台宗のすべて」⑨(大山寺観音菩薩)
京都国立博物館平成知新館の2F菩薩遊戯座像以外にもまだまだみるべき仏像が展示されていた。この大山寺観音菩薩もそのひとつで、飛鳥時代から霊峰伯耆大山の中腹に位置する天台宗別格本山大山寺に伝わる名品だ。U案内人も中国製だと断定したほど、優れた技術力に裏打ちされた仏像だ。この中国・北宋時代の仏像は化仏を配した大型宝冠を戴き、両肘を屈して手を前方に差し出し、左手に水瓶を、右手に宝珠を執る。精緻な造りの胸飾や瓔珞で全身を飾る。類似の作例は中国上海博物館にあり背筋を伸ばして両肘を張る姿勢や鋳造方法が似ているとのこと。伝来は北宋・大理国・遼とあり最近では明州で盛んに造像された普陀山観音像として造立された観音像として伝来した可能性が指摘される。他にも気になる仏像があるので先を進んだ。
2022年5月21日土曜日
特別展「最澄と天台宗のすべて」⑨(等妙寺菩薩遊戯座像)
最澄と天台宗のすべて展は東京・九州・京都と巡回展示するが、昨年の秋東京に来なかった仏像の一つが愛媛等妙寺の菩薩遊戯座像だ。京博平成館3Fから2Fに降りると菩薩遊戯座像に出会えた。展覧会チラシには60年に一度の秘仏と書かれており一生に一度のチャンスだった。像高90センチ足らずのカヤの木造玉眼の仏像だ。本像は寺で如意輪観音として信仰されており、立てた左膝に左手を置き、右脚を踏む下げて右手をついて岩上にくつろぐ姿がよい。このような座り方を遊戯座といい、観音の遊戯座像は中国では宋から元時代にかけて流行し、日本では鎌倉時代の鎌倉禅宗寺院を中心に木彫作品が造られたが、左足を立て膝とするのは本像が初めてとのこと。確かに東慶寺の水月観音もここまでくつろいだ座り方はしていない。端正な顔立ち、自然な身のこなし、写実的な着衣の表現など優れており、肥後定慶の作風に近いとのこと。魅力的な仏像に出会えて京都まで思い切って来てよかった。もうひとつ見たい仏像が待つ1Fへ向かった。
2022年4月10日日曜日
特別展「最澄と天台宗のすべて」⑦深大寺の慈恵大師像
深大寺には仏像クラブで今回出展の国宝釈迦如来像を拝観に行った。その際HPで秘仏があることを知った。本展のパンフレットをみると「日本最大の肖像彫刻、205年ぶりの出開帳」とあるので興味津々で会場に出かけた。鎌倉時代に制作されたこの肖像彫刻は像高2メータル足らずだが、大きさに圧倒された。皿井学芸員によると高僧は没後遺影がつくられることが多いが、この慈恵大師(元三大師)良源像は作例の数でも他の天台僧を圧倒しており、「鬼大師」「角大師」というバリエーションが生み出され、庶民に親しまれ点もあらゆる宗派の祖師信仰のなかでも特徴的であるとのこと。良源は教学的にも寺院経営でも剛腕ふるった僧侶で没後も比叡山山内にあって不動明王の化身という信仰が生まれた。その大きさに驚かされて会場をあとにした。
2022年2月19日土曜日
特別展[「最澄と天台宗のすべて」⑥(瀧山寺の十二神将)
2012年夏愛知県にある瀧山寺を拝観したが運慶の三観音ばかりに目がいったがまさかこんな素晴らしく愉快な十二神将があるとは知らなかった。最澄と天台宗のすべて展では秘仏ばかりが展示されたが、これも秘仏(?)だったのか。みうらじゅん・いとうせいこうの見仏記にもこの十二神将には一言もふれられていないので、当時は修理中だったのか。寺伝によると鎌倉時代の作で運慶の三観音が頼朝追悼のため製作された時期と重なる。写真の2号像は夜叉を意識して作られたと図録に書いてあったがどこかユーモラスだ。お寺に安置されているらしいので、また瀧山寺を訪ねていきたいと思った。
2022年1月29日土曜日
特別展「最澄と天台宗のすべて」⑤(真正極楽寺の阿弥陀如来)
2019年秋の京都紅葉ライトアップの時、金戒光明寺の隣の真如堂(真正極楽寺)の近くの道を通ってバス停に向かった。真如堂は大きなお寺でライトアップを行っていなかったので暗くて寒い夜道を向かったことをよく覚えているが、まさかこのような素晴らしい仏像があるお寺だと思わなかった。最澄と天台宗のすべて展ではネット情報によると、9体の秘仏が展示されており、真正極楽寺の阿弥陀如来は年一度11月15日開帳の寺外初公開秘仏だとのこと。992年に真如堂の戒算上人が本堂を創建したころの製作とみられ、10世紀末の穏やかな顔つきの仏像だ。京都因幡堂・薬師像の姿とよく似ているといわれるが、その造形力ははるかにしのぐすばらしい仏像だ。シンプルながら面貌や肉付けなどの抑揚を抑えた表現がみごとだ。さきの法界寺薬師如来と同じ皿井学芸員考案の展示ケースに収まっており、近くですみずみまで鑑賞できた。こちらも同じく延暦寺根本中堂最澄自刻薬師如来像の一世紀前、平安前期の着衣表現が採用されているとのこと。展示期間も14日間と短かったため見逃したかたも多かったかもしれない。めったに見れない秘仏をみれて大満足な仏像クラブの面々であった。
2022年1月15日土曜日
特別展「最澄と天台宗のすべて」④(寛永寺の薬師三尊)
年末年始の私の過ごし方は除夜の鐘を宝冠阿弥陀で有名な鎌倉浄光明寺でつき、長谷寺に参拝して境内で甘酒をのむのが例年となっている。東博も2日から「博物館に初もうで」というイベントを行っていてその年の干支にちなんだ美術品が展示されている。参加した会社の後輩によると関連イベントとして東博の半券で普段入れない寛永寺根本中堂に入ったそうだ。大きな厨子と二十八部衆を見てきたようだが、その厨子に入っていたのが10月の「最澄と天台宗のすべて」展で展示された寛永寺の薬師三尊だろう。寛永寺は「東の比叡山」東叡山と呼ばれ江戸天台宗の中心だったが、本尊の薬師如来は滋賀石津寺から日光・月光菩薩は山寺として著名な立石寺からお出ましになったという。平安時代初期の一木造の薬師如来は比叡山根本中堂にある最澄自ら彫った薬師如来と同じ木で彫ったとの伝来があり、彩色を施さない素木像という雰囲気だ。日光月光はいかにも東北仏らしく吊り上がった目が特長だ。来年からは例年の行事に東博で初もうでを加えたいと思った。
2021年12月29日水曜日
特別展「最澄と天台宗のすべて」③(願興寺の薬師如来)
2015年夏に願興寺を訪れたが、秘仏の薬師如来は拝観できなかった。特別展「最澄と天台宗のすべて」では全国の天台系寺院の秘仏が出展されるということで、東京展のポスターには法界寺秘仏薬師如来とともに、東京展のみの出展の願興寺薬師如来が使われていた。願興寺は最澄が自刻の薬師如来を安置したことに始まる古刹と伝わるが、境内から発見された瓦から寺の創建は飛鳥時代末から奈良時代初頭にさかのぼる。本像は頭体主要部分を前と後ろに分ける寄木造で最澄の時代よりのちの製作で仏師定朝が完成させた技法が用いられている。6年越しに秘仏に出会い大満足の展覧会であった。
2021年12月4日土曜日
特別展「最澄と天台宗のすべて」②(法界寺薬師如来)
特別展「最澄と天台宗のすべて」は東京・九州・京都の三会場でそれぞれ展示が違うが、秘仏の法界寺薬師如来は東京・京都のみの展示だ。東博の皿井学芸員によると天衣に彩られた截金文様をよくみなさんに見てもらうため小さな展示ケースを選んだ。お寺では側面しか見れないが展覧会では像高88センチ余りの仏像の背中に広がる金糸の文様がよく見えた。比叡山の絶対秘仏最澄の自刻像を模して制作されたと伝えられている。右手を胸の高さに挙げて手を前に向け、左腕を前方に曲げ前に差し出し挙を上に向けるという姿は鎌倉時代に天台座主慈円が実見した延暦寺根本中堂の本尊、最澄自刻の薬師如来の姿に近い。根本中堂には二尺の素木仕上げの七仏薬師も納められた。この像が七仏薬師になぞられたとも、そのひとつが法界寺の薬師如来に相当するとも伝えられている。この仏像に出会えただけでも展覧会に来てよかったと思った。
2021年10月30日土曜日
特別展「最澄と天台宗のすべて」①
今週の日曜日仏像クラブで東京国立博物館平成館に特別展「最澄と天台宗のすべて」を見に行った。この特別展は東京・九州・京都の国立博物館が巡回して来年の春まで開催する展覧会で第一章最澄と天台宗の始まりでは最澄自身に関連する展示となっており鎌倉時代に制作された最澄像や聖徳太子及び天台高僧像の絵画などが展示されていた。音声ガイドで最澄の頭巾のいわれや、作品の解説を聞きながらゆっくりと進んだ。この展示室の一番奥に京都日野の法界寺薬師如来が小さな展示ケースに展示されており間近に拝観できるようになっている。うまくライティングされており、截金文様がすばらしかった。その後、京都真如堂の阿弥陀如来の美しさに酔いしれたり、愛知瀧山寺の十二神将のおもしろい表情に見入ったり、調布深大寺の慈恵大師像の大きさにびっくりしたり、一同十分楽しめた展覧会であった。ショップで図録と手書きの御朱印をいただき1Fで天台宗の僧に日付を手書きしてもらった。同じ1Fでは延暦寺から梵字カフェが出張していると公式サイトにのっていたので、それぞれの干支をいって守護仏の梵字のカフェラテをいただいた。帰りに御徒町の天麩羅屋「天寿々」でおいしい天丼をいただき上野の町をあとにした。参加人数は少なかったが、仏像クラブが開催されてよかった。このまま感染症が収束に向かうのを願うばかりだ。
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