2011年11月27日日曜日

日向薬師

本日(26日)に仏像クラブで日向薬師を訪れた。ここ日向薬師の行基開山の寺で、鎌倉時代には源頼朝・北条政子が参拝したことで知られている。宝物殿に入ると仏像の多さに驚いた。薬師三尊と阿弥陀如来・四天王・十二神将・千手観音まで揃っている。しかも薬師と阿弥陀は丈六。十二神将・四天王は等身大の大きさだ。十二神将や四天王は色がはげて汚れ具合にも貫禄があり、少しだけ金が残っている。薬師如来は切れ長の目で瞳が大きく、鼻筋もしっかり通った美男子だ。ふと、その横を見た。右の日光菩薩の姿に息を呑んだ。とても色気がありうっとりする仏像だ。案内の方が他の会員に説明しているのに申し訳ないが、私は日光菩薩の美しさに見とれていた。日光・月光菩薩は鎌倉時代前期の作品で頼朝夫婦が娘の病気平癒のために祈った際もこの日光菩薩はあったのだろうか。5月の願浄就院・桑原薬師堂、先週の修善寺の大日如来といい鎌倉将軍家・北条家ゆかりの仏像を見る機会が多かった。帰りにそばやにより一年を振り返り今年出会った仏像に思いをはせる仏像クラブ面々であった。

仏像の姿は下記URLをご覧ください。
http://hinatayakushi.com/gallery/arts/91-statue.html?sfx=1

2011年11月22日火曜日

修善寺の大日如来


今週の日曜日に再度鎌倉国宝館で開催されている特別展「鎌倉×密教」を見に出かけた。再度の訪問の理由は展覧会後期に「修善寺の大日如来」が展示されるからだ。通常修禅寺では年に10日しか拝めない貴重な仏像が間近に見ることができる絶好の機会だったからだ。会場を入ったすぐの大日如来のコーナーで拝観した。運慶の兄弟子仏師実慶の作品だ。仏像クラブで今年の5月に桑原薬師堂で見た阿弥陀三尊も実慶の作品だが、本作はそれよりやや大きい像高1メートルほどの仏像だ。この仏像は幕府二代将軍源頼家の側室辻殿にかかわる造像と想像され、その契機と造像時期との関係から実慶が東国にいた可能性が指摘されている。桑原薬師堂も北条時政の長男の戦死を弔うために彫られたことを思えば、うなずける。そう思ってみると厳しい顔立ちの大日如来もどこか優しげにみえたり、女性が好みそうな髻正面の花形の結び目など実慶の心憎い演出が随所にみられる味わい深い作品だ。

2011年11月19日土曜日

禅定寺の十一面観音

京都仏像鑑賞会2011秋1日目の午後は南山城の十一面観音めぐりだ。何ヶ月も前から準備しネットでタクシーを予約。いよいよ観音めぐりがはじまるという高揚感の中、車は宇治田原の茶畑のなかを進んだ。山門をくぐるとりっぱな茅葺き屋根の本堂がありまずそちらを拝観した。本堂から見える景色は美しくかの白洲正子が「陰国(こもりく)」と称したのもうなずける。収蔵庫に向かうと正面に十一面観音が居られた。住職の説明があり、仏像のうしろからの拝観も可能とのことでじっくり見た。写真で見るより大きな高さ3メートル、平安時代の観音菩薩で、少年めいた独特な表情ではるかかなたをみつめている。肩や腰の後ろににうっすら金が残るのみで、あとは焦げ茶色に光り、手に水瓶(すいびょう)を持つ。脇侍は日光・月光菩薩で共に藤原期の作。他に象に乗った大威徳明王や広目天・増長天もありじっくり鑑賞した。タクシーの運ちゃんの話では1年に何回かくるだけの穴場だそうだ。心置きなく一人で鑑賞して寺をあとにした。

2011年11月12日土曜日

雲中供養菩薩

今回の京都仏像鑑賞会2011秋で久しぶりに宇治の平等院を訪れた。国宝の定朝作阿弥陀如来も素晴らしかったが、今回のお目当ては平成20年にすべて国宝に指定された雲中供養菩薩だ。現在は鳳翔館というミュージムアムに収められている。鳳翔館ではCGで復元した平等院が見られるが、足早に奥にある雲中供養菩薩のコーナーに向かう。ガラスケースに収まった菩薩たちが所狭しと並んでいる。効果的なライトに照らされた90センチの雲中供養菩薩が間近に見れる。大仏師定朝とその弟子たちの傑作が並んでいる。私が特に注目したのが観音菩薩と言われている、北25号だ。ほぼ平安時代の定朝一門オリジナルな仏だ。他の仏が鎌倉時代以降に補作されているがどれもすばらしい。ショップで雲中菩薩の図録が発売されていたので、購入し鳳翔館をあとにした。

2011年11月5日土曜日

清涼寺の光源氏

今日は京都仏像鑑賞会2011の2日目、嵯峨野の古寺巡りだ。大覚寺のあと釈迦堂清涼寺に向かった。ここ清涼寺は「源氏物語」の光源氏のモデルとなった源融が創建した寺が前身の寺院だ。現在の本尊は三国伝来の生身の釈迦と言われている清涼寺釈迦如来だ。奈良国立博物館で以前みたが、今回は御開帳でみられるとのこと。間近ではないが、充分はきっりと拝めた。霊宝館で特別展が開催されるとのことでそちらに向かった。源融が作らせた阿弥陀如来が安置されていて、人だかりになっていた。一説には源融に似せて作ったのではないかと言われているほど気品が漂う。光源氏もこのような姿だったかなと想像するのも楽しい!今回の京都はその奥深さに触れた。予定以上に見ごたえがありスケジュール通り行かなかった。これからは少しゆっくり目の日程でまた燃えるような秋に巡りたい。

2011年11月4日金曜日

観音寺の十一面観音

今日から京都仏像鑑賞会2011が始まった。まず訪れたのは宇治の平等院と南山城の十一面観音だ。宇治に待たせてあったタクシーに乗りこみ、禅定寺のあと観音寺に向かった。拝観をお願いし、本堂に向かった。まずお焼香を上げ、いよいよ厨子の中におられる観音様とご対面だ。みうらじゅんが日本仏像三大ビューティーと称えた観音菩薩だ。そこには黒びかりした仏像が立っていた。十一面観音のわずかにふくらんだ頬の滑らかな線に見とれ、しばし佇んだ。私が男のせいか女性的な観音菩薩に見えた。腰から足の滑らか曲線が美しい。いつまでも見とれいたかったが、次の観音の拝観を予約していたので、ブロマイドを購入して、観音のもとをあとにした。

2011年11月2日水曜日

来迎寺の如意輪観音(鎌倉国宝館)

昨年の年末に訪れた来迎寺の如意輪観音に特別展「鎌倉×密教」で再会できた。お寺では赤い円光背やりっぱな蓮華坐がついていたが、今回は取り外しての展示のため迫力に欠ける。しかし照明もよく間近に拝めるので、特徴の土を型抜きにして像表面に貼り付ける土紋がはっきりと見えた。土紋は鎌倉地方特有の荘厳技法と考えられ、現在東博で開催されている「特別展法然と親鸞ゆかりの名宝」に展示されている浄光明寺の阿弥陀三尊が代表的な仏像だ。口角の上がった微笑むような顔が印象的だが、深く装飾的な衣文などから、その造像年代は南北朝時代と考えられる。謎めいた微笑みに魅了される、仏像クラブの面々だった。