2013年4月29日月曜日

県立金沢文庫で天平仏と出会う

本日(28日)県立金沢文庫に出かけて。昨晩サイトをチェクして金沢文庫の
特別展「瀬戸神社」の紹介ページを見ていたら、「天平脱活乾漆菩薩坐像特別公開」の記載があり、急遽でかけた。以前金沢八景の龍華寺から発見された天平仏の記事は読んでから、どうしてもひと目会いたいと思っていた仏像だ。関東唯一の天平仏を近くで見られるまたとないチャンスだと思い、心躍らせて県立金沢文庫へ向かった。展示ガイドが始まるまでじっくりと一階に展示されている菩薩坐像と対面した。像高は90センチ余だが、お顔は阿修羅や五部浄を思わせる童子形で、胸の瓔珞(ようらく)の金が鮮やかですばらしい。手の表現も見事で、水瓶(すいびょう)はないが指が細く繊細だ。右足のみ下げる半跏のポーズも素晴らしい。実際発見されたのは頭部から腰・右脛部・左足先のみとのこと。修復され部分が多いとは言え素晴らしい出来ばえだ。江戸時代に兵庫から龍華寺に入ったという。奈良にしかない天平仏を近くで見られる喜びを噛み締めながらいつまでも、見入っていた。

2013年4月27日土曜日

「仏像半島ー房総の美しき仏たちー」展②

会場で2番目に展示されているのが南房総にある古刹小松寺の薬師如来だ
。今回の展覧会の特徴である立体的な展示方法である薬師如来を十二神将がずらっと取り囲んでいた。開催以前にWEBでも注目されていた秘仏だ。そのお顔を見て驚いた。神像とも見まごうような厳しい厳かな雰囲気を漂わせている。切れ長な目、唐招提寺伝薬師如来像に見られる胴部のY字型衣文から平安時代初期か奈良時代末期の作ではないかとのこと。材質はかやの一木造りで、鑑真来日以降に作られた仏像だろう。その薄さも特徴で、正面からは堂々と見える体躯も横になると異常に薄く10数センチしかない。首を前に突き出した奇妙な姿勢とともに一種恐ろしげな印象する与える。千葉の仏像の奥深さを垣間見せた仏像だ。私は圧倒されながら立ち尽くした。

2013年4月20日土曜日

「仏像半島-房総の美しき仏たちー」展①

本日仏像クラブで千葉に仏像を見に出かけた。午前中は市原市の「橘禅寺
」に参拝し昼食後、千葉市立美術館で開催されている「仏像半島ー房総の美しき仏たちー」展を鑑賞した。この展覧会では千葉の北から南までのお寺が所蔵している飛鳥仏から鎌倉・南北朝時代までの仏像が150体展示されており圧巻だった。展示方法にも工夫が見られ、仏と菩薩、本尊と眷属(けんぞく)の関係を配慮した立体的な展示方法となっており、ポスターにもなっている東明寺(富津市)の薬師如来立像を十二神将が取り囲む展示になり、興味深い。入場券もお寺にある散華(さんげ)をかたどった形になっており、単なる美術品の展示としてだけでなく、信仰の対象としての仏像を意識した主催者側の意図が感じられておもしろかった。仏像も素朴でほほえましい仏像から2メートルを超える迫力ある四天王まで実に多彩であきさせない。季節はずれの寒い日だったが千葉までわざわざ見に行くだけの価値がある仏像展だった。

2013年4月13日土曜日

山田寺から移された化仏のある菩薩

平成20年秋に訪れた奈良興福寺で南円堂特別公開を見た後、向かったの
が東金堂だった。東金堂には各時代の仏像が所狭しと安置され拝観することができる。室町時代の本尊薬師如来や平安時代の四天王、鎌倉時代の慶派の十二神将が並んでいる。その中で注目すべきは奈良時代の日光・月光菩薩だろう。そもそもここにある仏像の一部は鎌倉時代に山田寺から移されたものであの有名な「山田寺の仏頭」もそのひとつだ。山田寺とは大化の改新で功績のあった蘇我倉山田石川麿が創建した寺で、鎌倉時代になって廃寺同然に寺から興福寺僧兵により仏像が移された。その際一緒に移されたのがこの日光・月光菩薩だ。少し変わっているのが両像とも頭に化仏のせていること。「興福寺の仏たち」(東京美術)に記載がされていたが、大きい写真がなかったためよくわからなかった。最近買った別冊太陽「仏像」に掲載されており、はじめて化仏を載せた写真が載ってた。たしかに日光・月光の頭上には化仏が載っている。なぞが多い興福寺だった。

2013年4月6日土曜日

特別展「飛騨の円空」⑦

会場でひときわ大きな展示品がこの千光寺の金剛力士立像吽形(うんぎょう
)だ。円空が立ち木(自然木)に梯子をかけ掘り出したという言い伝えが残る像高2m強の作品だ。円空は木に宿る仏を見て彫ったといわれるが、まさにこの作品はその典型だろう。会場では一緒に江戸時代に刊行された「近世畸人伝」(きんせいきじんでん)の挿図も一緒に展示されており、立ち木に梯子をかける円空の姿がおさめられている。伝記には「二王を彫る」との記述があり会場を探したが阿形の金剛力士は見つからなかった。後で購入した「美術手帖」では漫画「バカボンド」の作者井上氏が千光寺を訪ねたとき円空寺宝館に展示されている「阿形」の金剛力士の写真が掲載されており、顔が二つに割れ金剛杖を持った金剛力士だった。保存のために東博の展示を控えたようだが、できれば二体並んだ姿を見たかった。この像からは、自然と一体となった円空仏の真髄を見る思いがした。