2013年1月4日金曜日
2012年12月22日土曜日
東京国立博物館140周年特集陳列館蔵仏像名品選⑤
東博仏像名品選では仏像をより近くに感じられる露出展示と、ガラスの存在を忘れさせるほどきれいなガラスケースに収まった展示方法がある。川端龍子氏寄贈のこの毘沙門天はガラスケースでの展示だった。四天王のうちの多聞天は単独で祀られるときは毘沙門天と呼ばれ、片手に宝塔を捧げ持つ姿につくられており、表面の美しい装飾がみどころだ。緑・青・橙(だいだい)・赤などの彩色の上に金箔を細く切ってさまざまな文様を表しているいわゆる截金技法(きりがねぎほう)だ。このような華麗な装飾は平安時代後期の仏像や仏画でもちいられる。堂々とした造形からも、一流の仏師の作だろう。玉眼の使用からもうなづける。この仏像は奈良県の廃寺中川寺にあったと伝えられる。装飾の細かい技を見るならばやはり東博の展示にかぎると思った。
2012年12月9日日曜日
東京国立博物館140周年特集陳列館蔵仏像名品選④
東博開館140周年記念館蔵仏像名品選は今週の日曜で終わったが、館蔵であるのになかなかお目にかかれない仏像が多数展示されていたので、見ごたえがあった。ここで紹介する京都泉涌寺(せんにゅうじ)の阿弥陀如来もなかなか東博本館でお目にかかれない作品だ。展示では光背がはずされた状態での展示だが、最近東博のサイトをチェクしていたら仏像名品ギャラリーに光背をつけた写真が掲載されているのを発見した。鎌倉時代の作だが、透かし彫りの美しい光背となかに円光背の変形で花のよう光背が合わさったすばらしい写真だ。展示の管理上はずしたのだろうが、見たかった。さすればトウハク仏像選手権で上位を狙えたのではないだろうか。仏像のほうも印相が変わっていて、右手を胸の前にもってくるポーズが珍しい。衣の彩色が蒔絵になっていてすばらしい。またお会いしたい仏像だ。
2012年10月7日日曜日
東京国立博物館140周年特集陳列館蔵仏像名品選②
今回の東博140周年館蔵仏像名品選で初めて出会ったのがこの日光菩薩坐像だ。奈良時代の木心乾漆造(もくしんかんしつづくり)の仏像で、当初は京都亀岡の金輪寺の本尊薬師如来の脇侍でのちに京都高山寺に移ったとのこと。現在も本尊は高山寺に月光菩薩は東京芸大の所蔵になっている。切れ長の目をした豊満な顔立ち、弾力のある引き締まった肉体表現がすばらしい。髪の毛の筋をていねいに表し、体を覆う衣の柔らかな質感も自然で、木屎漆(こくそうるし)の技法がすばらしい。木屎漆とは漆に小麦粉を混ぜて練った麦漆に木の粉や植物繊維を混ぜたペースト状のもので、頭髪や衣の質感を表すのに効果的だ。この仏像はその技法を遺憾なく発揮した名品だが、わずかに手の一部が破損しているのがおしい。そうでなければ国宝級の仏像で天平時代を代表する名品である。いつか薬師三尊が揃って展示されれば是非見に行きたい仏像だ。
2012年10月6日土曜日
東京国立博物館140周年特集陳列館蔵仏像名品選①
先週の土曜日に東博に「東京国立博物館140周年特集陳列館蔵仏像名品選」を見に行った。今回は東博館蔵の優れた名品13件だけで構成された展覧会だ。いままで、東博本館11室で何度もお目にかかった仏像や今回初めて見る仏像に、特に照明などの展示方法を工夫して今までよく見えなかった表情を出すことに努めたという。確かにスポットライトにあたった仏像はどれもすばらしく魅力的だ。入り口に展示されているのがこの菩薩立像だ。鎌倉時代の作で、上下の唇に彩色し薄い水晶板をあてる玉唇とでもいうべき技法が施されている。魅力的な顔の秘密はそんなところにあったとは驚きだ。善派の善円の作ではないかとのことだ。他にもすばらしい仏像が並び、大満足な展覧会であった。立ち去りがたいが東博を後にした。
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