2013年11月23日土曜日

当麻寺の広目天


今回の奈良旅行の最後に訪れたのが、当麻寺だ。春の奈良博の展覧会では持国天一体しか出
展されなかったが、今回は四体すべて見ることができた。金銅に輝い弥勒仏の4隅に安置され4体とも2メートルを超える巨像で、東方に持国天、南方に増長天、西方に広目天、北方に多聞天が配される。静かな堂内にピンと張り詰めた空気が流れ、四天王がひっそりとたたずんでいる。Ledの光も押さえぎみなのが良かった。この四天王は法隆寺の次に古く、東大寺の四天王の前に造られたものだ。中でも広目天がよくヒゲをはやして大陸的風貌の顔付きをしている。鎌倉時代の後補の一体を除き、白鳳時代の脱活乾漆像だ。服装も古様で、襟の高い甲(よろい)をつけ、肩に布をかけて正面で結び、袖と裳裾を長く垂らし、静かな表情で直立している。四天王の姿を目に焼き付けて当麻寺を後にした。

2013年11月22日金曜日

1400年前の飛鳥大仏

今日から奈良の仏像めぐりをしている。奈良の紅葉の名所を見てから飛鳥に向かった。飛鳥で私が一番期待していたのが飛鳥大仏だ。推古天皇創建のお寺で飛鳥大仏は創建からずっと同じ場所にあったと言うから驚きだ。飛鳥大仏はそのほとんどが後補だと言われてきたが近頃早稲田大学の発表で像全体の約80パーセントは当初の姿を留めるとのこと。また今年の9月に早稲田大学が発表した内容によると、後補といわれてきた、左脚前部分にX線をあてたところ、火災で焼けた成分が見つかったとのこと。これは驚くべきことだ。いわれてみれば北魏の影響があるアルカイックスマイルや厚い衣など思い当たるふしがある。このことが学会の通説になれば、興福寺の仏頭に次ぐ破損仏での国宝指定も夢じゃない。飛鳥寺の僧侶も1400年前そのままの仏像であることをを誇らしげに語っているのが印象的だった。飛鳥大仏の土鈴を購入して飛鳥寺をあとにした。

2013年11月16日土曜日

リップグロスの観音様

今週の日曜日に東博本館に仏像を見に行った。
一階第11室の彫刻のコナーと第14室の特集陳列「運慶・快慶とその後の彫刻」を拝観するためだ。出かける前に「1089(トーハク)ブログ」をチェックして仏像情報を仕入れてきた。浄瑠璃寺の地蔵菩薩を見たあと、東博所蔵の菩薩立像を拝観した。この仏像は東博でおなじみだか、塗った上に唇の形をかたどった水晶板を貼ったまるでリップグロスのようなつやのある観音様だ。その他に康円がわずか10日で作成した愛染明王などを拝観した。これも1089ブログに記載してあったが、展示の方法を工夫することにより邪気の顔がよく見えるようになった毘沙門天を拝観したあと第14室特集陳列「運慶・快慶とその後の彫刻」を拝観した。おなじみの真如園の大日如来を360度堪能したあと、今回初出展快慶の大日如来などを鑑賞した。いつもより充実して見れてよい東博訪問となった。今回は「1089(トーハク)ブログ」で事前に菩薩立像の情報を入手したので、今後も1089ブログはチェックしてから出かけたいと思った。最後に平成館に置いてある「仏女新聞」を入手して東博をあとにした。

2013年11月9日土曜日

林小路町自治会の弥勒菩薩立像

今年の春、奈良国立博物館で印象に残ったのが、この弥勒菩薩立像(みろくぼさつ
りゅうぞう)だ。鎌倉時代の仏像の像高の計り方は、髻の天辺まで数えて3尺(1メートル余)あり、蓮華の台座が二つに割れる踏割蓮華(ふみわりれんげ)に乗っている。踏割蓮華は仏が歩いたところに花が咲くことを表現した台座で、東博の観音菩薩立像も踏割蓮華だ。髪などを除きほぼ全身、快慶が得意とする金泥(きんでい)塗りで、そこからも快慶工房の作風に近いといわれている。着衣部分には繊細な切金文様を施している。この仏像は林小路自治会から奈良博に預託されている仏像で、鎌倉国宝館の十二神将のように人々により大切に守られてきた仏像なのだろうか。来春には休館中の鎌倉国宝館の十二神将が奈良国立博物館で展示される。ふたつの仏像の競演が楽しみだ。

2013年11月3日日曜日

観福寺の懸仏

本日(2日)千葉県佐原にある観福寺に懸仏(かけぼとけ)を見に仏像クラブの面々とでかけた。
佐原の町外れにある観福寺は大きなお寺ですばらしい堂宇がそこかしこにたっている立派なたたずまいをしていた。ご住職に案内され、裏庭にある収蔵庫をあけてもらった。そこにあったのはガラスケースに収まっていた四体の懸仏だった。釈迦如来・十一面観音・阿弥陀如来・地蔵菩薩で写真でみるより大きく感じた。懸仏は香取神宮の神宮寺に元はあり明治の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)のおり観福寺に流れてきた客仏で重要文化財に指定されている。製作は鎌倉時代後期で元寇あった弘安年間に造られている。異敵調伏のため製作され、鏡板の割りに像が大振りでほぼ完全な丸彫りの形で残されている。特に真ん中の2体が出来栄えがよかった。神仏混交の代表的な仏像で懸仏とは神道の鏡と仏像が一体となったものだ。すばらしい懸仏に一同感動した仏像クラブの面々であった。