2015年10月31日土曜日

東寺の夜間特別拝観

今日から京都仏像鑑賞の旅に出かけている。南山城古寺巡礼を昼間に行い、
夕飯後、今年から秋も実施される夜間特別拝観に東寺に出かけた。昼間とは違った幻想的にライトアップされた仏像に感動した。立体曼陀羅は正面だけでなく後ろからも拝観できた。圧巻だったのが、金堂の薬師三尊でLEDの光に照らされて神々しく光っておられた。中央に像高3メートル近い薬師如来坐像。背中の光背にある化仏自体すでに大きい。日光・月光も少し落とした照明の中で妖しく金色に光っていた。見仏記にもかかれていたが、女性的な日光・月光は手の平が大きく厚いのだが、ほほと目のかわいらしさ類を見ない。私はうっとりとしてしまって夜中の九時近いといいうのに時を忘れていつまでも眺めていた。宿の門限の時間もあり冷えてきたので金堂をあとにライトアップされた五重塔を眺めながら宿に向った。


2015年10月24日土曜日

川崎影向寺の薬師如来

今週の日曜日川崎で秘仏開帳があるとのことで、急遽年間計画の日程を変更し
て仏像クラブで出かけた。調べてみると、開帳のお寺の近くにある影向寺は白鳳時代創建の古刹で、薬師如来を始めとして、日光・月光菩薩、四天王や十二神将がある。早速、お寺に拝観の予約を入れて、仏像クラブの面々で出かけた。お寺につくと法事が始まる前のようで、拝観5分という制限で一同は収蔵庫に向った。扉を開けてもらい、中に入ると仏像郡といってふさわしい仏たちでうまっていた。中央に平安時代後期の一木造りで中尊・薬師如来が座しており像高は139センチ、左脇侍・日光菩薩171センチ、右脇侍・月光菩薩が171センチでともに重文に指定されている。十二神将は南北朝時代の製作で像高70センチ足らずだが、鎌倉時代の作風を残した作品だった。御住職みずから地方仏の典型と紹介するほど中央仏師の作風には劣るが、なかなか味のある仏像群だった。仏像クラブの面々も川崎にこのような仏像があると驚きを隠せない様子で、帰りの武蔵小杉の居酒屋でお昼を食べながら熱く語り合った。

2015年10月17日土曜日

蔵王権現と修験の秘宝展④櫻本坊の釈迦如来

蔵王権現と修験の秘宝展では大小さまざまな秘宝が公開されており、150セン
チ以上ある聖徳太子像からわずか20センチ足らずの釈迦如来像など70点が展示されている。ここで紹介する櫻本坊の釈迦如来は像高17.3センチで、銅造鍍金の白鳳時代の製作だといわれている。いわれてみれば、東博の法隆寺宝物館の48体仏に似ている。頬が張った丸顔で独特な緊張感を持つ表情、左右非対称な衣文表現などが白鳳仏らしい。納衣は胸前を大きく開いて、納衣と裳の裾を前面に垂らす、いわゆる裳懸座(もかけざ)を表す。幅が広く大ぶりの肉髻には螺髪を表さず、顔の造作を大きく表し、耳朶が外側に強く張り出す特徴的な面持ちだ。如何せん展示品が小さいので双眼鏡もってこれなかったのが悔やまれる。お寺では多分一般公開していないであろう秘宝に出会えてよかった。

2015年10月10日土曜日

雲崗石窟のシヴァ神

私が若いころ訪れた雲崗石窟は大小あまたの仏像が岩に穿たれていたが、仏
像以外にもインドの神であるシヴァ神やヴィシヌ神もあわされている。一通りのガイドが終わり自由行動となったとき、私はガイドブックに書いていた、シヴァ神の像はどこにあるか中国人ガイドに聞いてみた。中国人ガイドはわれわれツアー一行を、第8屈に案内してくれた。8屈の入口東側に、三面八臂で牛に乗っている異国風の神像があった。顔は三面とも引き締まった童顔で、中央の顔には宝冠をかぶっている。両側の顔はとがった三角帽をかぶっており、第一手には日輪、第二手に弓、第三手に輪を、第四手は肘を曲げて胸にあて、手首を上にして葡萄の一房を持っていることは甚だ興味深いと、最近購入した「小川晴暘の仏像」の解説に記載してあった。「小川晴暘の仏像」には戦前に大同の雲崗石窟を訪れた、小川晴暘の珠玉の仏像写真が掲載されており、若かりしころにタイムスリップした気分になれた。悔やみきれないのは8屈の入口西側にはヴィシヌ神の像があり、見逃してしまった。いつか再度中国の石窟めぐりがしたいものだ。

2015年10月3日土曜日

蔵王権現と修験の秘宝展③変わった肉髻の釈迦如来

現在開催中の蔵王権現と修験の秘宝展では多くの蔵王権現や役行者など修験
道特有な仏たちが展示されているが、その中で気になったのが金峯山寺の釈迦如来だ。平安時代の作で、近頃の年輪年代法の測定の技術により吉野最古の仏像だということがわかった。やはり修験道の仏像は一味違っていた。肉髻が異常に盛り上がり、螺髪も四角く、眉と目を顔幅いっぱいに表す独特の表情で、なで肩、体は一木造に特有な太くどっしりとした体つきになっている。小さな展示品が多いなかでその体躯に圧倒された。すぐ近くに源慶の蔵王権現(ZOGG)が控えていたので次の展示品に向った。