特別展「最澄と天台宗のすべて」⑨(等妙寺菩薩遊戯座像)
最澄と天台宗のすべて展は東京・九州・京都と巡回展示するが、昨年の秋東京に来なかった仏像の一つが愛媛等妙寺の菩薩遊戯座像だ。京博平成館3Fから2Fに降りると菩薩遊戯座像に出会えた。展覧会チラシには60年に一度の秘仏と書かれており一生に一度のチャンスだった。像高90センチ足らずのカヤの木造玉眼の仏像だ。本像は寺で如意輪観音として信仰されており、立てた左膝に左手を置き、右脚を踏む下げて右手をついて岩上にくつろぐ姿がよい。このような座り方を遊戯座といい、観音の遊戯座像は中国では宋から元時代にかけて流行し、日本では鎌倉時代の鎌倉禅宗寺院を中心に木彫作品が造られたが、左足を立て膝とするのは本像が初めてとのこと。確かに東慶寺の水月観音もここまでくつろいだ座り方はしていない。端正な顔立ち、自然な身のこなし、写実的な着衣の表現など優れており、肥後定慶の作風に近いとのこと。魅力的な仏像に出会えて京都まで思い切って来てよかった。もうひとつ見たい仏像が待つ1Fへ向かった。
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