「 京の冬の旅」はJRディスティネーションキャンペーンなので有名だが、「京の夏の旅」は京都観光協会主催のためさほど有名でないが今回は仁和寺観音堂が公開されているので、清水寺千日詣りまでの空いてる時間訪れた。観音堂の須弥壇正面壁をはじめ、内陣の板壁や柱は極彩色の壁画で彩られていた。2018年の特別展「仁和寺と御室派のみほとけ」では仏像は本物だが壁画は写真パネルだった。正面の三十三応現身は仏像の影で見えなかったが、東面の三十三観音は白い納衣が美しく修復されていた。888年に創建された仁和寺も京都を戦場とした応仁の乱によりことごとく焼失し徳川家光の支援で再建され壁画を担当したのは木村徳応の手によりものだ。仏像に目を移すと、中央に千手観音と矜持。その周りを二十八部衆が囲む。降三世明王は東寺から二十八部衆は三十三間堂からほぼ忠実に再現している。確かに迦楼羅や魔和羅女などは一回り小さいくしまねて作っているが再現には程遠い出来だ。図録には幕府や朝廷の御用を担った七条仏師康音の作風に通じるところがあると解説しているが、古典作品に取材しながら手際よくまとめすぎているのではたしてどうか。猛暑の中たいへんな拝観となったが京都の夏のいい思い出になった。