2010年10月30日土曜日

特別展薬師如来と十二神将(北条義時を救った戌神)

覚園寺戌神


辻薬師堂の戌神
 本展で私が注目した作品は戌神だ。運慶が製作したという記録がある大倉薬師堂の十二神将は現存しないが、本展に出展されている鎌倉国宝館所蔵辻薬師堂の十二神将はそれを写したと言われている。また大倉薬師堂を寺に改めた覚園寺のものもその復興像だという。
3代将軍実朝暗殺の際、太刀持ちとして付き従うはずだったが北条義時が大倉薬師堂の戌神の夢のお告げに従い、直前になって予定をとりやめて難を逃れたという。はたして義時の夢枕に立った戌神に近いのはどちらの像であろうか。U案内人は辻薬師堂の戌神が近いのではないかと言っていたが、私もそう思う。二人で運慶の十二神将について熱く語った。

2010年10月23日土曜日

特別展東大寺大仏(音声菩薩)

本展の目玉は東大寺大仏殿前の八角燈籠だ。羽目板には音声菩薩のレリーフがありみごとだ。奈良時代に作られた本作は、羽目板に音声菩薩がそれぞれ違う楽器を演奏しているレリーフのひとつで、昭和37年に盗難にあい翌日発見されその後、別途保存されていたため創建当時の姿を見られるのが魅力的だ。八角燈籠の火袋に取り付けれれる羽目板四面のうちかつて東北面にはめられた一面である。しばし音声菩薩の姿に見とれてその場に立ち竦んだ。

2010年10月16日土曜日

特別展薬師如来と十二神将(辻薬師堂)

本日から鎌倉国宝館で「特別展薬師如来と十二神将」が開催された。U案内人と8時半に鎌倉で待ち合わせ早速でかけた。今回は鎌倉国宝館所蔵辻薬師堂の薬師三尊及び十二神将の十四年の歳月をかけた修復が完成したことを記念して、関東近辺の薬師如来・十二神将を一堂に会した展覧会だ。会場の真中に辻薬師堂の仏像たちがでんと鎮座する。薬師如来と日光・月光菩薩が壇上にあり、それを十二神将がずらりと囲む。鎌倉時代製作の像が8体残りは江戸時代の修造のものだ。江戸時代の像は黒光りして真新しい感じがした。U案内人の話ではこの辻薬師堂像も大倉薬師堂にあった運慶の十二神将から影響を受け作られたのだろう。そして関東近辺の十二神将も製作されたという。それぞれの十二神将を比較した写真が展示されていたのでよくわかった。その他、覚園寺や宝城坊の十二神将も展示されておりユニークな展覧会で楽しめた。

2010年10月12日火曜日

特別展東大寺大仏(誕生仏)

昨日、「特別展東大寺大仏 天平の至宝」を見に東京国立博物館行った。夏のような秋晴れの日だったが、会場は思ったより空いていてゆっくり見ることができた。展覧会のポスターにもなっている誕生仏に出会った。釈迦が生まれたとき「天上天下唯我独尊」と告げたとの伝えられるポーズの仏像だ。毎年4月8日のお釈迦様の誕生を祝う花祭りで誕生仏と灌仏盤を設置して香水(甘茶)を濯ぐ法会がとり行われる。誕生仏の表情は笑みを浮かべておりかわいらしい。灌仏盤は香水を受けるためのものだが、その表面にも獅子・麒麟などの模様が刻まれているのには驚いた。それぞれの模様にライトをあてる照明方法で露出展示のためとても見やすかった。会場には誕生仏のフィギアが販売されており女性に人気の高い仏像だ。昨日までは1階ラウンジで花御堂の中のレプリカの誕生仏に花祭り体験で誰でも甘茶をかけることが出来るようなイベントも行われていたので参加した。図録に御朱印をいただけなっかたのが残念だったが楽しめて大満足な展覧会だった。

2010年10月10日日曜日

仏像クラブ活動報告(観心寺の如意輪観音)

平成21年の春、一年に一度4月17・18日にしか御開帳されない大阪南河内観心寺の「如意輪観音」に会いに0泊2日の弾丸ツアーで向かった。大阪駅に7時前につき朝食をすませてから南海電車で河内長野に向かった。河内長野で降りバスで観心寺に向かう。観心寺につき山門をくぐると思ったより大きな寺で庭も開放感があり、そこかしこに拝殿など赴きのある建物があり寺伝では弘法大師のゆかりの寺院だという。目指すは「如意輪観音」なので奥の金堂へ向かった。御開帳日とあって善男善女が多く拝観にきており、お寺の僧侶も人の多さに辟易した様子だが御開帳日であり仏像の説明が始まるところだった。

本尊は秘仏で如意輪観音。平安時代に造られた仏像で国宝に指定されている。人が多く近くで見えないため遠慮がちに双眼鏡で覗いた。豊満な肉体、エキゾチックな顔立ち、像全体に施された華麗な彩色文様。ミステリアスで官能的な雰囲気をもつこの像は、平安時代前期の密教彫刻の中でも特に傑出した出来栄えを示し六臂(ろつぴ)の如意輪観音の最古の作例として名高い。色がよく残っているため色気さえ感じる仏だ。次の説明が始まり大勢の参拝客がこられているので、立ち去りがたい気持ちを抑えつつ次の目的地の藤井寺に向かった。

2010年10月3日日曜日

仏像クラブ活動報告(一目惚れした弥勒菩薩)

平成20年春に京都太秦広隆寺を訪れた。国宝第一号の弥勒菩薩に会うの
が目的だ。新霊宝殿に入る。広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟(ハンカシユイ)像に出会った瞬間、私は不思議な感覚に落ちた。あまりの美しさに眼を奪われ心揺さぶられる感覚に陥入った。俗に言えば弥勒様に一目惚れしてしまった。少年のころのような甘くて切ない感覚がよみがえったようだ。まさに心の一仏との出会いだった。弥勒菩薩像は顔立ちから指の先まで繊細でとても美しい仏だ。吊り目の鋭さを消しているのは、奥ゆかしく伏せた顔。端を軽く上げた唇は微笑みをみせている。新霊宝殿は昭和57年に完成した建物であるため、余計なガラスケースもなく仏像と正座して対面できるようなスペースを設けられている。それがまた弥勒菩薩と私の距離を近くしたようだ。新霊宝館を出るとU案内人は講堂にもいい仏があると言って向かったが、あいにく閉まっていて隙間から拝観した。後で写真集で調べてみると、国宝阿弥陀如来坐像(平安時代作)が安置されていた。立ち去りがたい思いを胸に広隆寺を出てその日の宿に向かった。