2014年3月15日土曜日
2013年2月9日土曜日
法隆寺宝物館(童子形像N153)
日本美術全集を見てからどうしても気になっていたのが、この「童子形像」の仏像だ。像高30cmたらずの仏像が幼子のような顔をして、立派に肉髺(につけい)と螺髪(らはつ)を持ち子供が大人の背広を着て得意になっているようだ。宝物館で見たN153は照明の関係で少し大人っぽくみえたが、他にも幼い顔だちの仏像が多く見られ、見ててあきない。東大寺大仏展で見た聖武天皇の念持仏も幼い顔だちをしていたと記憶しており、白鳳から奈良にかけて興福寺の八部衆に代表される幼い顔だちの仏がはやっていたのではないだろうか。それには聖武天皇・光明皇后夫婦の趣向が大きく関係するのではないかと感じ、法隆寺宝物館を後にした。
2013年1月26日土曜日
法隆寺宝物館(止利派の仏N155)
48体仏には法隆寺釈迦三尊を造った止利仏師の工房の製作と思われる仏像が三体ありきわめて貴重である。N155号はその中の一体で、止利工房の優作のひとつ。48体仏の制作年代である飛鳥・白鳳時代に流行の半跏形の菩薩像であるが、右手を頬におく思惟形にはせず、掌を外に向けることが他とは異なる。抑揚のない顔のつくり、「奈良の古寺と仏像展」に展示されていた法隆寺大宝蔵院の菩薩立像でも見られる、三山形式の宝冠、髻を造らないことなどが飛鳥彫刻の特色が見られる。しかし法隆寺の釈迦三尊など止利工房の作例に多いアーモンド形の目とはせず、目尻を上げているのが魅力的だ。照明が保護のため暗くよくわからないが、日本美術全集の写真を見るとすばらしい仏像だ。保護のため照明を暗くするのはしかたがないが、写真を並べて展示したり、ネットで48体仏すべての写真を公開することなど、展示方法に工夫が欲しい。今後東博で検討いただきたいと強く感じてその場を後にした。
2013年1月19日土曜日
法隆寺宝物館(渡来系の仏N143号)
昨年末に購入した日本美術全集:法隆寺と奈良の寺院(小学館)に載っていた仏像で気になっていたのがこの如来及び両脇侍像:N143号だ。日本の仏像にない大陸の風を感じる仏像だ。法隆寺に伝わる小金銅仏は阿弥陀如来の四十八願にもとづいて、江戸出開帳の時に選ばれたもので、その中には渡来系の仏像・止利派の仏像・童子形像・インド風な仏像・半跏思惟像などに大きく分けられる。その内渡来系の仏像は3体が確認されており朝鮮三国時代の貴重な仏像だ。この如来及び両脇侍立像はその代表的なもので典型的な一光三尊像(いっこうさんぞんぞう)である。右手を広げてあげ、左手は人差し指と中指を伸ばす、法隆寺金銅釈迦三尊と同じポーズだ。光背もみごとで唐草の蓮華に化仏を配し、釈迦三尊と同じく火焔が描かれている。両脇侍も両手を胸の前で合わせ衣の下に隠す、日本の仏像にない特色がある。ここまで本尊釈迦三尊と似ていると法隆寺に早い段階で安置されており止利仏師が製作の過程で参考にしたのではないか想像してしまう。閉館の時間も迫っていたので次の仏像を見に移動した。
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