2018年6月16日土曜日

特別展名作誕生③(山口・神福寺十一面観音菩薩)

山口・神福寺の十一面観音を知ったのはブックオフで購入した芸術新潮で
「仏像-一木に込めれれた祈り展」の特集記事でだった。この仏像は「真壇像」と言って本来の材であるビャクダンでつくられた壇像だ。壇像はもともときわめてインド的色彩の濃いものだが、インドにも中国にも古い仏像はなく、日本に数体伝わるのみで、法隆寺の九面観音・談山神社の十一面観音そしてこの山口・神福寺の十一面観音だ。東博東洋館で見た「三蔵法師の十一面観音」も装飾が細かく超絶技巧だったが、この海を越えた仏像も顔に痛みがあるものの、素晴らしい装飾で彫られている。唐時代の仏像で直立した姿勢でうごきはとぼしいものの、装身具や天衣のにぎやかさはそれをおきなってあまりある。この仏像に直接出会えたことの喜びをかみしめながら次の展示品に向かった。

2018年6月8日金曜日

金沢文庫運慶展⑧(瀬戸神社の舞楽面 陵王)

以前、仏像クラブで訪れたことがある金沢八景駅からほど近い瀬戸神社とい
う古い社に伝わるのがこの舞楽面だ。瀬戸神社の社伝に源頼朝または実朝の所蔵で北条政子により寄進されたという。平成23年の金沢文庫運慶展で初めて見たが、今回は運慶作と図録に「仏の瀬谷さん」が記載しておりその後の研究の成果だろうか。同じような面が鶴ヶ岡八幡宮にもあるが、頭上の龍は両手をがっしりと握って、力強い。この龍が上野東博「運慶展」に出展された四天王の装飾に似ていることが、彼を運慶作と断言させた理由らしい。ただ雑誌の対談でも舞楽面の運慶の作例がないことや、最晩年作になってしまう点、面の裏の墨書「運慶が夢想により作った」が逆に慶派一門の造像に運慶が指導して作らせたということも考えられるとあくまでも慎重だった。東国での造像の可能性を秘めた舞楽面だった。

2018年6月2日土曜日

平成30年新指定国宝・重文展

5月5日は土曜日で東博は開館時間延長日だったので、「名作誕生展」を
17時過ぎまで見てから本館で開催されている「平成30年新指定国宝・重文展」に向かった。指定された仏像は本館11室に集結しているので、そちらに向かうと入口のガラスケースには追加指定された山形・本山慈恩寺の釈迦三尊が展示されていた。私が注目したのがキシリトールガムに使われた東寺の夜叉神だ。国宝・重文展では雄夜叉のみの展示になっており像高2メートルだが大きく見えた。その隣には薬師寺東院堂安置の四天王のうち増長天が展示されていた。鎌倉時代の作で強靭な肉体と怒りの形相で表されている。奈良では東院堂を見逃してしまったので、いつか四天王すべて見てみたいと思う。反対側には快慶展で見た三尺阿弥陀や東北岩手一関の東川院の観音菩薩があり、ガラスケースのコーナーには初めて見る僧形の「雲中供養菩薩」が展示されており、奥には国宝指定の三十三間堂の千手観音1001躯のうち3躯が展示され充実した内容となっていた。心地よい疲れを覚えて東博をあとにした。

2018年5月26日土曜日

東京港区のほとけさま

本日は仏像クラブで2回目になるが、港区の仏像巡りを行った。地下鉄白金
高輪駅から魚籃坂を登り魚籃寺へ。ガラス越しに魚籃観音を見て、そっけない住職より御朱印をいただき早々に三田を通って増上寺に向かった。初めて歩いたが三田の界隈は寺町となっていて多くの寺院が立ち並ぶ街だった。成行きで何軒かのお寺を巡り、東京タワーを見ながら増上寺へと向かう。本堂の「大殿」には明治に京都知恩院より寄贈された室町時代の寄木造の仏像だ。法要中であり下外陣からの拝観となったが双眼鏡で見ると顔つきがほっそりとした阿弥陀如来で金箔で阿弥陀定印を結んでいる。増上寺にはほかに安土桃山時代の釈迦三尊や十六羅漢があるが三解脱門上に祀られているため拝観はかなわなかった。大門外の居酒屋で食事をしながら今日の仏像について語り合う仏像クラブの面々だった。


2018年5月20日日曜日

特別展名作誕生②(成相寺の薬師如来)

今回の名作誕生展では展覧会に出たことがない仏像も多く展示されていた。
一番気に入ったのがこの成相寺の薬師如来だ。成相寺は淡路島にあるお寺で図録によると高野山の僧実弘により再建されたことが伝えられるがそれ以前から寺院の存在は確認されているとのこと。盛り上がった頭部や、やや険しい表情、脚部に現れる衣の襞をY字形に整える表現などはこの展覧会のテーマである「つながる日本美術」からみると唐招提寺薬師如来に端を発し、元興寺像など、各地に広まった薬師如来像にならう姿であるとのこと。衣の襞は彫りが浅く体躯の厚みも薄くなっている。平安時代中期から穏やかな表現の仏像が増えていくが既にその傾向がうかがえる。私も友人も今回の展覧会一番気に入った仏像の原因がその点にあるかもしれない。大倉集古館普賢菩薩の普賢菩薩も気になるので次の展示に向かった。