2019年1月19日土曜日

特別展顕れた神々~中世の霊場と唱導~:前編

県立金沢文庫で今週の月曜日まで開催されていた特別展「顕れた神々~中世
の霊場と唱導~」に今週日曜日に出かけた。閉会間近ということで、図録は購入することができなかったが、解説もかかれておりよく理解できた。1階には前田青邨、白洲正子旧蔵の十一面観音が伊豆山権現の青銅の神像の横に展示されてあった。平成23年の世田谷美術館開催の「白洲正子展」に出展されたとき鑑賞して以来の再会だ。当時は図録にも詳細が記載されていなかったので解らなかったが、金沢文庫発行の補助解説冊子によると平安時代の作で神仏習合により神像と仏像のそれぞれの特徴が混在したような仏像の代表作として展示されていた。十一面観音は素木造りで細部が省略された仏像。頭部の化仏がのっぺらぼうなのは当時摩滅したと思っていたが、ネットによると仏が今まさにあらわれようとする瞬間を表した霊木仮験の表現とのこと。展覧会のタイトルにふさわしい仏像だ。その他春日神と箱根神の可能性がある東博の文殊菩薩に似た阿弥陀寺の文殊菩薩も展示されていた。多くは神や神の志現を表した絵画作品が展示されたいたが仏の瀬谷さんが「カナチャンTV」で日本のすべての神様にお出ましいただいたと豪語する展示内容となっていた。学芸員の説明は最後のほうしか聞けなかったがこじんまりまっとまった金沢文庫らしい展覧会だった。

2019年1月13日日曜日

特別展「快慶・定慶のみほとけ」⑤(定慶の六観音)

私が初めて大報恩寺を訪れたのは、平成21年紅葉真っ盛りの京都で、霊宝殿で見た六観音の素晴らしさに感動し、そのあと本堂釈迦如来の御開帳のおりにも拝観した。昨年東博で大報恩寺展が開催されより深く知ることができた。大報恩寺には由来不明の仏像が多く、この六観音もそのひとつであるが、展示では近くの足利義満創建の北野経王堂の洛中洛外図の展示もあり、この六観音が北野経王堂から移座されていることを示唆している。会場では六観音の光背を外した展示がされており右から如意輪・准胝・十一面・馬頭・千手・聖観音となっている。作品は肥後定慶の統率のもと門下の仏師と快慶一門や他の慶派の仏師が総動員で鎌倉時代に製作された。このなかで准胝観音のみ定慶の墨書があり彼自身が携わって製作されたとのこと。学芸員の皿井氏によると「運慶と作風が非常によく似ていて、頬のふっくらした丸み、その柔らかさまで伝わってくるような立体、質感表現の巧みさは運慶八大童子にも見られる」とのこと。カメラスポットである聖観音像の写真をとり、最後の展示に向かった。

2019年1月4日金曜日

大池寺の釈迦如来

昨年の11月に櫟野寺の開帳に行こうと櫟野寺HPを調べていたら甲賀三大佛
の紹介ページにリンク出来たので、今回は櫟野寺だけではなく三大佛も一緒に見ようと計画していた。そのことをU案内人に話すと大池寺には学生時代に訪問し、小堀遠州の庭にいたく感動したとのこと。こちらは仏像がメインだが庭も素晴らしいらしいので写真に収めてこようと思った。JR西日本のローカル線で三雲駅におりタクシー会社の小さな事務所でタクシーに乗り換え大池寺に向かった。よく整備された参道を通り、入口から本堂へ向かう途中に蓬莱庭園と呼ばれる庭に面した部屋で一休みした。息をのむような美しい庭で中央にサツキの大刈込がある凝った庭の造りになっており、ちょうど紅葉が見ごろで、もみじが真っ赤に染まっていた。仏像は本堂にあり、行基作と伝えられた丈六の釈迦如来があり見ごたえがあった。甲賀三大佛の最初で幸先がよくよいお寺を参拝できてこの後期待が高まり、タクシーを待たせてあったので、お寺をあとにした。

2018年12月29日土曜日

特別展京都大報恩寺快慶・定慶のみほとけ④(伝菅原道真作千手観音)

上野で開催されていた特別展「快慶・定慶のみほとけ」のトップを飾る展示
がこの千手観音だ。大報恩寺自体は鎌倉時代に藤原秀衡を祖父にもつ義空により創建されているが、創建以前の仏像も収蔵されている。千手観音のその一つで、図録では歯切れが悪く「元々別のお寺にあったもの」というだけではっきりしなかったが、最近購入した雑誌では「菅原道真が梅の古木で彫ったと伝わる」と断言している。大阪道明寺にも同様な伝説をもつ十一面観音があり伝説の域をとどまるので図録はあえて記載しなかったのであろう。制作は平安時代前期であるが、神護寺薬師如来像のように胸や腹の肉付きを強調するのではなく、頬こそ肉どり豊かだが、腰高であることもあって重量感を感じさせない。平安時代後期の繊細で穏やかな仏像の過渡期の表現とういう見方も興味深い。展示の冒頭から興味を沸かせる千手観音だった。

2018年12月22日土曜日

特別展京都大報恩寺快慶・定慶のみほとけ③(快慶の十大弟子)

展覧会場では行快の釈迦如来の周りに釈迦の10人の弟子「十大弟子」が展示
されていた。10体揃って寺外初公開で、快慶の主導で快慶の弟子と運慶系の仏師が鎌倉時代に製作した快慶最晩年の名作だ。図録によると頭部の作風より運慶系の4体と快慶一派の6体にわけられるという。運慶系はゆがみやくぼみがあり人体の生々しさが表現されており、快慶一派は女子一番人気の阿難陀(アーナンダ)を代表するように球形に単純化されている。私が一番気に入ったのは快慶の墨書が足ほぞより発見された神通第一の目犍連(モクケンレン)で衣に快慶お得意の切金で彩色を凝った彩色を施している。老いの描写を気品のある表現にまとめあげる力量と出来栄えから快慶その人の作であること間違いないという。会場は作品保護のため照明をおとしていたためよく解らなかったが、行快作の墨書がある持律第一の優婆離の背中の衣も切金で素晴らしい彩色が施されていた。今回の展覧会で二度とない機会にじっくり十大弟子が鑑賞できてよかったと思う。