2019年9月15日日曜日

特別展示 奈良大和四寺のみほとけ⑦(室生寺十一面観音)

今回の「奈良大和四寺のみほとけ」の目玉は室生寺の釈迦如来と十一面観音だろう。十一面観音は見仏記のみうらじゅん氏に言わせると「ピンで写真集が出せる」ほど人気な仏像だ。実は昨日も東博を訪問し十一面観音を拝観してきた。見仏記のみうらじゅん氏・いとうせいこう氏のトークショーを聞きに行くため出かけた。東洋館のシルクロード美術や法隆寺宝物館の伎楽面を見てから本館11室に向かった。会期終了まで10日の三連休初日とあって込み合っていたが、難陀竜王・室生寺釈迦如来などをじっくりと鑑賞した。十一面観音は室生寺で見るより高い台のうえに展示されていた。トークショーでいとうせいこう氏が言っていたが、十一面観音と目線が合うように展示されているとのこと。見仏記によると「ふくよかに皮膚が張りつめた頬や少し短めの足からすると(中略)この観音も童子的な形態を意図して作られたのかもしれなかった」とのこと。私は童子的というより溌剌とした少女をこの仏像から感じた。トークショーは11室の入口で販売していた御朱印入り大和四寺巡礼服でお二人が登場して今回展示されていない安部文殊院の文殊菩薩や岡寺・長谷寺の仏像を見仏記掲載のみうらじゅんイラストを中心としたスライドショーや土門拳クイズなどで大いに盛り上がった。「奈良大和四寺のみほとけ」を二倍楽しむことができてよかったと思う。

2019年9月8日日曜日

特別展示 奈良大和四寺のみほとけ⑥(室生寺地蔵菩薩)

今回の特別展示「奈良大和四寺のみほとけ」の目玉の展示が国宝室生寺十一
面観音と地蔵菩薩だ。二人とも美しい薄い光背ごと展示されている。十一面観音は国宝でもあり素晴らしい仏像だが、地蔵菩薩がなぜ選ばれたか会場で目にするまでわからなかった。近づいてみるとその光背の美しさに目をみはった。周りには地蔵菩薩などの仏が描かれているが色彩表現が華麗で優美だ。東博ブログによると「面貌や肉身部分を朱線で描き(中略)絵画として地蔵を表した例としては現在最古といえるでしょう。」とのこと。地蔵菩薩の頭と光背があっていないのは三本松にある安産寺の地蔵菩薩がもと室生寺にあり、それ用につくられたものだからだ。魅惑の仏像「奈良室生寺十一面観音」で小川光三氏が再現した写真を見たことがあるがぴったりだった。板光背の地蔵菩薩の唐草文の先端はひるがえって火焔になる躍動感は見事。仏像の横を見るとその板光背の薄さにびっくりした。ここ上野で見られる喜びを噛みしめ次の展示に向かった。

2019年8月31日土曜日

特別企画 奈良大和四寺のみほとけ⑤(長谷寺の難陀竜王)

今回の「奈良大和四寺のみほとけ」ではじめて拝観したのが長谷寺の難陀竜
王だ。長谷寺では本尊十一面観音の脇にある高い壇上の厨子にあり、大阪での展覧会には出展されたらしいが、いかなかったので今回はじめてお会いした。東博ブログによると「難陀」とはサンスクリット語の音写で幸せ喜びという意味だそうだ。三十三間堂で難陀竜王を見たが鎧武者の姿だが、長谷寺像は中国の役人の姿で表現されている。これは中国道教の影響を鎌倉時代に受けて製作されたからだそうだ。長谷寺の難陀竜王が手に持つのはお盆で角のある動物が五つ表されているが、牛のように見えるが竜だ。中国の道教・日本の陰陽道で雨乞いにまつわる五竜を表している。今度みうらじゅん氏・いとうせいこう氏の「奈良大和四寺のみほとけ」の講演を聞きにいくが、彼らが難陀竜王をどう突っ込むか今から楽しみだ。再訪して作品をじっくり見てから楽しみたいと思う。

2019年8月24日土曜日

令和京都非公開文化財特別公開:番外編(同聚院不動明王)

今年の春、令和京都非公開文化財特別公開を鑑賞する間に、東福寺の塔頭、
同聚院に向かった。お寺につくと門前に多くの善男善女が並んでいた。不動明王目当ての列かと見ていたら、御朱印目当ての女性が多くご本尊を拝観する人はまれのため、拝観料を払って静かに不動明王に対することができた。この不動明王は定朝の父、康尚の一木造りのいわゆる「大師様」の不動明王だ。康尚は寺に属さず工房を営む初めての仏師で、この不動明王は藤原道長が造った法成寺五大堂の本尊とみられる。山本勉先生著の「別冊太陽仏像」では後補である両脚部や剣がない写真であったが、お寺では剣を持ち火焔光背をつけ薄暗い中どっしりと座っている印象だ。山本先生によると「頭部が小さくあまり肥満の見られないスマートな体形で忿怒(ふんぬ)の表情もあまり見られない」とのこと。薄暗がりの中だろうか私は十分迫力を感じた。念願の康尚の仏像を見て大満足して令和京都非公開文化財で沸く聖護院に向かった。

2019年8月17日土曜日

摩訶耶寺の不動明王

大河ドラマで有名な龍潭寺を拝観したあとタクシーで予約していた摩訶耶寺
に向かった。ここは奈良時代に聖武天皇の祈願所として行基が開創した寺で先ほど訪れた方広寺のある奥山にあった新達寺が前身とされる由緒あるお寺だ。寺を訪ねると若いご住職が明日のお盆の施餓鬼法要の準備で大露わな様子だったが、本堂に続く収蔵庫に案内していただいた。収蔵庫には三体の仏像が祀られており、右から平安時代末期の国指定重要文化財不動明王、中央が平安時代末期の静岡県指定文化財の阿弥陀如来、一番奥にあるのが国指定重要文化財の平安時代中期の千手観音だ。御住職の簡単な説明のあと一人収蔵庫に残りじっくり仏像を鑑賞した。千手観音、阿弥陀如来は見るべきものもあったがさほどではなかった。やはり一番印象に残ったのが不動明王だ。頭髪を巻髪とし、左耳の前に弁髪を垂らす。面相は目が天地眼で、牙を上下に表す典型的十九観不動の姿をとるが、腰を捻って上半身を右に寄せる姿勢には動きが感じられる。体のガッシリさに比べ両腕・両足は反対に華奢であり、このアンバランスが強い印象を生んでいる。衣文線の彫りも深くアクセントをつけている。光背はないが多分、大分の真木大堂で見た迦楼羅炎の火焔光背であったであろう。このお寺には頼朝伝説があり施餓鬼の前の忙しい中説明いただいた御住職にお礼を言い、うなぎ食べ放題が待つ温泉宿に向かった。