2019年3月24日日曜日

蓮花寺の十一面観音

今週のお彼岸の中日に仏像クラブで目黒碑文谷と大田区蒲田の仏像を見に出
かけた。朝はあいにくの小雨交じりの天気で初めに目黒区碑文谷の円融寺に向かい、黒不動を見る予定だったが、二重のガラスで生憎光ってよく見えなかったので、早々に大田区蒲田蓮沼の蓮花寺に行くことになった。蓮沼に着くころには青空が広がり春の日差しの中、本日御開帳の十一面観音を見に近くの蓮花寺に向かった。お寺に着くと檀家の法事の最中で12時までとの案内でしばらく境内で待たせてもらった。蓮花寺は寺伝によると恵心僧都による開創で鎌倉時代に蓮沼法師が中興したという。蓮沼法師は以前仏像クラブでも出かけた荏原郷の地頭であったが訳あって出家したとのこと。法事も終わり間近で拝観することができたが、像高90センチの観音様だが、穏やかな目をして心洗われる気持ちになった。秘仏のため保存状態もよく口元に紅が造立当時の面影を残す。親切なお寺の女性に取次を頼み御朱印をいただいてお寺をあとにした。蒲田の寿司屋で特上の寿司をいただきながら今見た観音様について熱く語る仏像クラブの面々だった。


2019年3月17日日曜日

快慶展⑨知恩寺阿弥陀如来

奈良博で開催された特別展「快慶」では銘記は内部からなかったが、
作風から快慶作と思われる仏像も出展されていた。平成18年に新たに見いだされた京都百万遍知恩寺の阿弥陀如来もそのひとつだ。この仏像を初めて見たのは大津市歴博で開催された「比叡山展」でその頃は後世の補色で黒っぽい色をしていたが、快慶展出展のおりにはその色もなく快慶得意の金泥塗のきれいな仏像となっていた。主催者の山口奈良博学芸員によると、肉付きのよい面部や厚みのある体躯、着衣部にほどこされた截金(きりがね)文様の趣致もふくめ、遣迎院像に極めて近いとのこと。よく見ると快慶作と判別できる耳の彫り方をしており、展覧会では同じ会場に展示されたいたのでわかるように工夫されていた。二度とない機会にじっくりと鑑賞すればよかったと今になって後悔している。

2019年3月10日日曜日

運慶展⑪(清水寺の伝観音・勢至菩薩)

2017年に東博で開催された「特別展運慶」の第二会場には運慶作とは確定し
ていないが、作風が運慶との可能性がある仏像が息子たちの作品と一緒に展示されていた。山本勉先生も別冊太陽「運慶」でとりあげていたのが、京都清水寺の伝観音菩薩と勢至菩薩だ。最近購入した「慶派の仏たち」の著者根立氏によると頬の張りや堂々とした体つきに運慶風が見られる。特に着衣の処理が横須賀の浄楽寺の観音・勢至菩薩にそっくりとのこと。山本先生も円成寺の大日如来までさかのぼるごく初期の運慶作品の可能性を指摘している。最近見仏記を読み直してみたが京都清水寺の記載してある「ゴールデンガイド篇」にみうらじゅんのイラストでこの伝観音菩薩を発見した。前回U案内人といった清水寺は夜桜見物だったので本尊しか拝めなかったが、秘仏のオンパレードとの記載もありあらためて仏像目当てで清水寺を訪れたいと思った。

2019年3月3日日曜日

快慶展⑧(隋心院の金剛薩埵)

一昨年奈良で開催された快慶展には快慶作の仏像だけを集めた展覧会だった
が、京都山科小野の隋心院からは金剛薩埵像が出展されていた。実は私は平成21年に隋心院を訪れ金剛薩埵像を拝観していた。目の前にずらりと九体の仏像が並んでおりその中の一つが金剛薩埵像だった。黒く細い胴、堅固不壊なる菩薩心を表す金剛五鈷杵を右手にもって胸に当て、左手に衆生を驚覚歓喜させる金剛五鈷鈴を持つ姿で表現されていたが、展覧会では宝冠は外され持物を持たない姿で展示されていた。確かに快慶の彫刻を見るには後補の持物はいらないが金剛薩埵の尊格を理解するのにはやはり持物を持たせた方が良かった。展覧会の功罪を考えさせられる仏像であった。

2019年2月23日土曜日

妙傅寺の弥勒菩薩半跏像

昨年の秋に訪れた大津市歴史博物館で開催された「神仏のかたち」展では
大津市湖信会十社寺の仏像が展示されていたが、それに交じって大津市歴博に寄託されている京都市八瀬にある妙傅寺(みょうでんじ)の弥勒菩薩半跏像も出展されていた。一昨年の正月のNHKのニュースで「古代朝鮮仏発見」というテロップで紹介されたようだが、私はそのニュースを見逃しており、あとからネットニュースで知った。専門家が調査したところ前髪を中央で二つに分けたところや、足の中央にあるとぐろ巻きの飾りなどから七世紀の古代朝鮮で製作されたもので間違いないであろうとのこと。木彫の仏像が多く並ぶ展示会場において銅造鍍金の仏像は珍しく像高50センチあまりの小像だが、異彩を放っており会場で目立っていた。図録によると「面相は妖艶な表情を持ち、左肩から腹部には隋や唐時代の菩薩像に見られる珍しい衣をつけています」と記載してあった。仏像のかたちがテーマの美術展のため図録にも工夫があり、仏の瀬谷さんが芸術新潮の運慶仏特集で使用した図版吹き出し解説が用いられており、わかりやすかったが大阪大と東博のチームが言っている髪型や中央の飾りの解説はなかった。朝鮮三国時代の仏像は東博の特別展「ほほえみの御仏」以来2度目だがもっと多くの古代朝鮮の仏像を見てみたい気持ちになった。古代朝鮮と古代日本のつながりに思いを馳せながら会場をあとにした。