令和7年新指定国宝・重文展(延暦寺護法童子)
初めて延暦寺護法童子に出会ったのは延暦寺にある「比叡山国宝殿」でのこと。その大人とも子供ともつかぬ容貌に心引かれた。その後、2022年5月日帰りで京都を訪れ特別展「最澄と天台宗のすべて」で再会したときは2018年に解体修理した際発見された不動明王(9.5センチ)と六角五輪塔形の水晶製舎利容器も展示されていた。護法童子とは高僧を護る「乙護法」という童子形善神で、赤色肉身の童子形で、肩に天衣を掛け、両手で杖をつき左手の甲に載せて立つ。この姿勢は浄瑠璃寺不動明王の眷属制吨迦童子に図像的には似ており、作風は同展で展示されていた、無動寺不動三尊制吨迦童子に酷似していると言われる。無動寺制吨迦童子が京博学芸員の私見として湛慶より一世代後の慶派仏師による造像との説もあり本像もそのあたりの仏師かもしれない。いずれにさいても童子の豊かな肉取りの造形や的確な写実表現は鎌倉彫刻の特徴をよく示しており、人気の高い仏像の一つだ。元々は比叡山東塔南谷の西尊院に祀られており、東叡山寛永寺で配られた新聞に子供ころから毎日礼拝した信者の記事が載っていたので、重要文化財指定は至当だと思う。
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