奈良・大阪・京都仏像の旅④(喜光寺の阿弥陀如来)
奈良で大きな展覧会があるときは奈良市周辺のお寺に訪問することが通例となっているが今年は初訪問の喜光寺に決めた。特別展「超国宝」を鑑賞する予定にしていたのでどこのお寺を訪問するか検討していた私に「喜光寺の本尊光背修復が6年ぶりに終わった」とのニュースが舞い込んだ。光背の大部分が破損して痛々しかった阿弥陀如来だが、薬師寺で保管されていた光背の一部と新たに金箔を塗り直して復元した光背で4月に開眼法要が実施された動画も見て実物を見たいと思い急遽訪問することとなった。新幹線・近鉄特急「あをによし」と乗り継ぎローカル駅「尼ヶ辻」に降り立ち15分ほどで喜光寺についた。平日なので参拝客がほとんどいない境内を歩き拝観料を払って本堂に向かった。喜光寺は奈良時代に大仏殿創建に尽力した行基創建で当初のご本尊は阿弥陀如来であったか薬師如来かは不明で今の本尊は平安時代に造像された。本堂に入ると像高230センチの小ぶりだが立派な光背に七仏を拝し、金泥色に金箔された阿弥陀如来が祀られていた。近くには以前の江戸時代中期に制作された光背の六分の一しか残っていない写真も公開された。100年ぶりの光背の修復は美術院国宝修理所が行ったとネットに記載されていたが平安時代の阿弥陀如来の光背として違和感のない、いい仕事していると確認できた。喜光寺は阿弥陀三尊以外はほとんど仏像は残っておらず、平成22年制作のブロンズ製仁王像や平等院をまねた地元有志の制作の雲中供養菩薩など地元愛にあふれた素敵なお寺だった。静謐な境内を後にして奈良の喧噪に向かった。
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