特別展「ハッケン!上田の仏像」②(清水寺聖観音)
特別展「ハッケン!上田の仏像」では白鳳時代から江戸時代の円空仏まで出展されているが白鳳時代の出展仏像は小布施のものであり、平安時代前期の仏像はどれも小さく魅力ある仏像だが、迫力に欠けるところがあるのなのか仏像クラブで以前訪問した長野市松代清水寺の薬師如来と聖観音が出展されていた。清水寺聖観音は本尊千手菩薩,右矜持地蔵菩薩の三尊型式で信濃国の平安時代前期を代表する一木彫像を代表する優品として著名だ。単髻を結い丈の高い列弁をめぐらせた天冠台をいただき、条帛・天衣を懸け、腰以下に折り返し付きの裙、腰布をまとう菩薩形像で、左手を屈璧して腕前で第一・三・四指を曲げ、右手は垂下して掌を前に向けて全指を伸ばし、腰を左にひねり、右足をやや前に出して立つ。頭体幹部を一木で彫り内刳りを施さない造法は古様であり、奥行きをたっぷりととった重量感あふれる体躯、腰高で躍動感のあるプロポーション、深く鋭く刻まれた翻波式衣文の表現などに、平安時代前期一木彫像の特色が顕著である。本像は九世紀後半から末に在地の仏師によって造像されたものと考えるのが妥当であろうと学芸員のお国自慢が出たが、私は逆に中央仏師が都では制約があり作れない仏像を地方でのびのび自由に作った印象だ。今回はお寺の須弥壇に乗っていた仏像が間近でみれたのは何よりの収穫だった。
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