2025年6月7日土曜日

奈良・大阪・京都仏像の旅⑤(安楽寿院の阿弥陀如来)


 13年ぶりに鳥羽の地に降り立った。13年前の秋に京都非公開文化財特別公開が行われ京都に着き真っ先に向かったのが安楽寿院だった。ここは鳥羽上皇終焉の地で広大な鳥羽離宮があったところだ。その中心がこの安楽寿院だ。13年前の記憶をたどりながら寺院についた。お目当ての阿弥陀如来は外の収蔵庫にあった。記録によると鳥羽上皇が祀られている三重塔で供養当日から法華三昧を行われた。阿弥陀を本尊に据えて、法華三昧を行うという、「法華経」による減罪を経ての極楽往生祈願がみられる。定印を結ぶ等身の座像、檜材製で漆箔を施す。光背の身光圏帯内区や光脚、台座の蓮弁の一部、上敷茄子・華盤・下反花などが当初で、華麗な浮き彫り文様が施されて美しい。仏師は円派の長円・円信・賢円かさだかでないが、当代正系仏師の定朝様踏襲と装飾への意欲を示す典型的作例であり、その由緒とも併せてもっとも院政期的一作と見なされる。外に出たらいい天気で新緑に映える三重塔(今は多宝塔)が美しかった。恋多き鳥羽上皇に思いをはせて北向山不動院に向かった。



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