特別展「聖徳太子と法隆寺」③(菩薩立像)
聖徳太子と法隆寺展では前に見たことがある懐かしい仏像も数多く展示されていた。この菩薩立像は2010年夏の暑い日に友人と日本橋三井記念美術館で開催された「奈良の古寺と仏像」展に出展されていた仏像だ。その後の日本の仏像とは違い明らかに大陸の風を感じる止利仏師の仏像だ。図録によると夢殿の救世観音観音と同じく腕前に両手で宝珠をとることから観音菩薩としてつくられたとのこと。高い山型の宝冠を戴き、面長のやや角ばった顔に大振りの眼鼻立ちで、見開いた眼、わずかに口角を挙げた微笑みをたたえる。最初に見た10年前にはアルカィクスマイルばかり気になっていたがよくみると宝冠の頭部にササン朝ベルシャの王冠由来の太陽と三日月のモチーフが見いだされ、宝冠全体に雲気文などのモチーフが見いだされる凝ったつくりになっている。鰭状の衣など止利派の金銅仏らしい威厳をもった仏像だった。
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