2021年7月3日土曜日

特別展「聖林寺十一面観音~三輪山信仰のみほとけ」①

 

今週の日曜日、U案内人と東博開催の特別展「聖林寺十一面観音~三輪山信仰のみほとけ」を鑑賞しに出かけた。昨年から事前予約制となった東博だがスムーズに入場することができた。開催場所は東博本館1Fの特別5室、音声ガイドを借りて開催のあいさつをゆっくり聞いていたが、U案内人は中央にある十一面観音のガラスケースに吸い寄せられていた。私もつられて十一面観音の前に立ちガラス越しであるが、わずか数センチの近さで拝観した。私は2010年に聖林寺を訪れて少し離れた展示ケース越しに拝観したが、東博ではみうらじゅんがいう360(さぶろくまる)鑑賞でき、後ろも鑑賞できるようになっている。随筆家白洲正子が奈良に十一面観音を訪ねた際、聖林寺を訪れ「さしこんで来るほのかな光の中に、浮かび出た観音の姿を忘れることが出来ない。それは今この世に生れ出たという感じに、ゆらめきながら現れたのであった。その後何回も見ているのに、あの感動は二度と味わえない。世の中にこんな美しいものがあるのかと、私はただ茫然とみとれていた。」とエッセイ「十一面観音巡礼」に書いている。他の観音にない男性的な感じに白洲正子は引き寄せられたのだろう。雑誌でお孫さんの白洲信哉氏と対談した金沢文庫のほとけの瀬谷さんが「ゆらめきながら現れた」の一文に注目し「十一面観世音神呪経」に十一面観音が出現する時に仏像がゆらぐと書かれていて、それが十一面観音の造形化に影響を与えていると指摘していた。U案内人をみると初めて見た聖林寺十一面観音にいたく感動したらしく会場を出て他の仏像の展示を見ているとき椅子に崩れ落ちるほど感動したらしい。私も東京初公開の十一面観音の展示の素晴らしさに感動し、何度もU案内人と見入ってから会場をあとにした。


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