2018年6月30日土曜日

特別展名作誕生④(孝恩寺の薬師如来)

名作誕生展の出品リストを見て是非とも見たいと思ったきっかけが大阪孝恩
寺の薬師如来だ。大阪孝恩寺は異形仏群の宝庫として井上先生の「古佛」でもたびたび取り上げられ行基菩薩開創の寺として知られている。「古佛」によると「本像の表現のうち、もっとも強烈な印象を受けるのは、頭髪部である」と書かれているように盛り上がっており、肉髻が大きい。会場では像高160センチあまりなので頭部の異様さが目立たないが「古佛」では顔のアップの写真があり肉髻の大きさがよくわかる。井上先生も「仏像のような高度な精神的はたらきによって作り出されるものは宗教者とそれに寄り添う仏師の存在が必要」とのこと。仮にそれを「チーム行基」と名付けると全国にあまたある行基作の仏像は「チーム行基」の製作によるものではないか。いつか大阪の孝恩寺を訪ねて行基菩薩の仏像とじっくり向き合う時間が持ちたいと思いながら次の展示品に向かった。

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