金沢文庫運慶展⑦(瀬戸神社の舞楽面 陵王)
以前、仏像クラブで訪れたことがある金沢八景駅からほど近い瀬戸神社とい
う古い社に伝わるのがこの舞楽面だ。瀬戸神社の社伝に源頼朝または実朝の所蔵で北条政子により寄進されたという。平成23年の金沢文庫運慶展で初めて見たが、今回は運慶作と図録に「仏の瀬谷さん」が記載しておりその後の研究の成果だろうか。同じような面が鶴ヶ岡八幡宮にもあるが、頭上の龍は両手をがっしりと握って、力強い。この龍が上野東博「運慶展」に出展された四天王の装飾に似ていることが、彼を運慶作と断言させた理由らしい。ただ雑誌の対談でも舞楽面の運慶の作例がないことや、最晩年作になってしまう点、面の裏の墨書「運慶が夢想により作った」が逆に慶派一門の造像に運慶が指導して作らせたということも考えられるとあくまでも慎重だった。東国での造像の可能性を秘めた舞楽面だった。
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