先週の日曜日に伊勢原の日向薬師(ひなたやくし)を訪問した。年数回しか御開帳されないなた彫りの薬師三尊を見にいくためだ。日向薬師の石段を上がると、いつもは静かな境内に大勢の善男善女が集い住職の講和が始まるところだった。中央にはいつもは閉まっている厨司の扉が開いており、中には桂の木で造られたの薬師三尊が見える。照明が一瞬ついてよく薬師様のお顔が見えたが、厳しい住職の指示で電気は消された。すると写真で見ていたご本尊のやさしいお顔が厳しく見えた。薬師如来を中心に左に月光菩薩、右に日光菩薩が配されている。かの白洲正子も言っていたが、写真でよく知っているつもりだったが、やはり実際に拝むと迫力が違う。その迫力は、荒削りの鉈彫から来るもののようであった。本堂が改築中のため広い収蔵庫での拝観となったが多くの赤ん坊をつれた若い夫婦が目だった。聞けばこのあたりの地域の方々は、お宮参りはこの日向薬師に詣でるとのこと。古くは源頼朝夫婦が娘の大姫の病気平癒のため、参拝したのがここ日向薬師だった。頼朝関連の言い伝えがのこる庭で甘酒を飲みながら、行く春を惜しむ桜が舞い散る境内をながめていた。
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