運慶の興福寺仏頭と出会う
平成21年、東博で「国宝阿修羅展」が開催されたとき「運慶の興福寺仏頭」と出会った。前の年にも奈良の興福寺を訪問したときは運慶作品とは知らず、隣の白鳳時代の有名な「仏頭」に目を奪われてさほどの記憶に残っていなかった。寺の古い記録により運慶作品と判った西金堂の釈迦如来仏頭だが、U案内人と二人で鑑賞したが「ほんとうに運慶作なのか」との疑問が残った。だかその後、展覧会図録を読むとかの有名な阿修羅や八部衆に囲まれた釈迦如来像として運慶が再興した際、天平仏を意識した造りとしたためとわかった。今まで見たのびやかな運慶作品と趣を異にするが、天平仏への運慶の憧れがわかる仏像だ。阿修羅と共に運慶の丈六の釈迦如来が「金鼓(こんく)」を囲んで並ぶ様は圧巻だったと思うと西金堂の消失が悔やまれる。天平と鎌倉に思いをはせて二人で会場を後にした。
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