2025年9月21日日曜日

佐渡・新潟仏像探訪記①(佐渡国分寺の薬師如来)

本日(9月18日)から佐渡・上越の仏像を巡っている。「日本美術全集~密教寺院から平等院へ」はあの編集者泣かせの伊藤史朗氏だが、佐渡国分寺の薬師如来の写真も掲載されていた。どっしりとした体つきもさることながら、豊かな頬と盛り上がった頭が男性的で、一度見て見たいと思っていた。若い頃愛読していた見仏記に誘われて佐渡を訪れたが、国分寺を訪れたのは今回が始めてだった。収蔵庫を若い僧侶に開けてもらうと像高1メートル半弱の薬師如来座像が安置されていた。近くで観るとその保存状態のよさに驚かされた。螺髪はほとんどきれい残っており金箔の残量も多く、手指足指もかけることなく残っている。そのため指の間の水掻きがはっきりわかって平安前期の仏像の特徴をよく示している。衣からはみ出た足も大きく父性を表している。背無為与願印の右手平が力強い。いとうせいこう氏によると額からすっと伸びた鼻筋や、くっきりした眉はまさに薬師で、ハンサムな力士を連想させるとのこと。御朱印を若い僧侶に頼んでいる間しばし収蔵庫で一人で拝観した。この仏像は十四世紀に雷火で七重塔を失い唯一運び出されたのが、薬師如来だった。千年の佐渡の歴史を見ていた薬師如来に感銘を受けお寺をあとに宿に向かった。

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