2025年2月23日日曜日

特別展「大覚寺」①

本日は三井記念美術館の円空展に行く予定だったが、休館日のため銀座線で上野に出て特別展「大覚寺」を見にいった。大覚寺は嵯峨に位置する真言宗大覚寺派の大本山で、その歴史は約1200年前、嵯峨天皇が造営した離宮・嵯峨院からはじまる。第一章では嵯峨院と空海の交流から始まり、平安時代末に円派の仏師明円作の五大明王が間近で見られた。山本先生の鎌倉時代仏師列伝によると明円は平安時代末に院や平氏、摂関家の造像にあたった仏師で運慶の父康慶と興福寺の再興像を争った仏師だが、現存作はこの五大明王とのこと、その後は展覧会は狩野山楽作の障壁画や人気の刀剣など人気のコーナですでに10万人の来場者が訪問したのもうなずける。帰りに図録やクリアファイルを購入し会場を後にした。




 

2025年2月15日土曜日

特別展「ハッケン!上田の仏像」②(清水寺聖観音)


 特別展「ハッケン!上田の仏像」では白鳳時代から江戸時代の円空仏まで出展されているが白鳳時代の出展仏像は小布施のものであり、平安時代前期の仏像はどれも小さく魅力ある仏像だが、迫力に欠けるところがあるのなのか仏像クラブで以前訪問した長野市松代清水寺の薬師如来と聖観音が出展されていた。清水寺聖観音は本尊千手菩薩,右矜持地蔵菩薩の三尊型式で信濃国の平安時代前期を代表する一木彫像を代表する優品として著名だ。単髻を結い丈の高い列弁をめぐらせた天冠台をいただき、条帛・天衣を懸け、腰以下に折り返し付きの裙、腰布をまとう菩薩形像で、左手を屈璧して腕前で第一・三・四指を曲げ、右手は垂下して掌を前に向けて全指を伸ばし、腰を左にひねり、右足をやや前に出して立つ。頭体幹部を一木で彫り内刳りを施さない造法は古様であり、奥行きをたっぷりととった重量感あふれる体躯、腰高で躍動感のあるプロポーション、深く鋭く刻まれた翻波式衣文の表現などに、平安時代前期一木彫像の特色が顕著である。本像は九世紀後半から末に在地の仏師によって造像されたものと考えるのが妥当であろうと学芸員のお国自慢が出たが、私は逆に中央仏師が都では制約があり作れない仏像を地方でのびのび自由に作った印象だ。今回はお寺の須弥壇に乗っていた仏像が間近でみれたのは何よりの収穫だった。



2025年2月10日月曜日

特別展ハッケン!上田の仏像




本日、長野県上田市に特別展ハッケン!上田の仏像を見に行っている。お昼前に上田に着き、信州そばの有名店刀屋でかけそばを頂き、展覧会場があるサントミューぜに向かった。大雪を心配したが、残雪もなくほどなく上田市美術館に着いた。解説によると上田市は、奈良時代に信濃国分寺が置かれ塩田平中心に華やかに仏教文化が展開した。上田市教育委員会が平成28年に実施した仏教美術悉楷調査で、多数の仏像が発見され本展では1500点の名宝のなかから選りすぐり仏像を展示とのこと。展示品の内容について後日詳細を報告するが、U案内人と一緒にみた、清水寺の聖観音や前山寺の大日如来など印象に残る仏像が多数あった。特に前山寺大日如来は私の目からしても慶派の大日如来であることは明らかで、髻の毛筋彫などから確信した。このような素晴らしい仏像に出会えるならわざわざ上田まで足を運ぶ価値はあったと思う。上田の町で焼き鳥を頂き、上田を後にした。

2025年2月4日火曜日

特別展「運慶」女人の作善と鎌倉幕府



 今週の日曜日に県立金沢文庫に特別展「運慶」女人の作善と鎌倉幕府を見にいった。県立金沢文庫の「運慶展」はこれで4回目になるが、今回は運慶に関わった鎌倉幕府の女性の依頼で制作された仏像を中心の展示との「ほとけの瀬谷さん」の触れ込みだったが、運慶作は源実朝の乳母「大弐局」依頼の大威徳明王。北条政子が実朝の安産祈願で制作したという説がある曹源寺十二神将巳神。瀬谷さんの新説で北条政子発願の寿福寺薬師如来、政子寄進の瀬戸神社舞楽面などかなり無理はあるが瀬谷さんの独断で集められた仏像群の展示となっている。なんといっても本展目玉は清水寺の観音勢至菩薩であろう。確かに浄楽寺阿弥陀三尊に作風が似ていると感じた。出展してほしかったのは政子寺ともいわれる願成就院の諸像や源頼家婦人が菩提を弔うために制作した実慶制作の大日如来。実朝夫人坊門清信の娘、西八条禅尼発願の京都大通寺(今は愛知県専長寺にある)阿弥陀如来も出展してほしかった。またの機会の楽しみとして期待したい。