2023年9月24日日曜日

特別展「京都・南山城の仏像」②(海住山寺奥院十一面観音)

会場に入るとまず目に飛び込んでくるのが、この海住山寺の奥院十一面観音だ。平安時代の作で壇像を思わせる小像だが、カヤを白檀にみたてて製作された可能性がある仏像だ。ガラスケース越しだが近くで鑑賞できる。海住山寺は木津川を望む三上山中腹の瓶原の風光明媚な地に立つ。海住山寺本堂の本尊も十一面観音だが、かつて浄土信仰を広めた鎌倉時代の解脱上人貞慶が奥院に住し、朝な夕なに念持仏としたとの伝承がある。十一の頭上面は頂上に仏教を修行する人に無上の仏道を説く仏面、前三体は善い行いをする人に安らぎ与える菩薩面、左右には悪い行いの人の心を改めさせる瞋怒面、清浄な行いの人を励まし仏道に勧める牙上出面があり、一番うしろにはみうらじゅんが言っていた暴悪大笑面はひとびとのさまざまな行いを笑い、悪を改めて仏道に向かわせることを意味している。会場では大きく拡大した写真パネルで展示。われわれを良い行いをして仏道に向かわせる仕掛けとなっている。最初からパンチを食らった気分で次の展示品に向かった。


 

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