浅草寺のみほとけ②(大威徳明王)
特集「浅草寺のみほとけ」は今週末で長い展示期間を終えるが、どの仏像も自由におおらかに作られた造形だと思った。ここに紹介する「大威徳明王」はインドではヤマータンカと呼ばれ、その名のとおり冥界の王ヤマ神を調伏するため、文殊菩薩が変化した明王とされる。そのためヤマ神の乗り物である水牛に坐した姿で表される。有名の平安時代の東寺大威徳明王はその姿を忠実に再現した像となっている。ところが鎌倉時代の浅草寺にかかると大威徳明王がまたがる水牛は普通の牛になり、直立した状態で表されている。足が6本あるため、日本では六足尊ともよばれているが、この点は忠実に彫られている。大威徳明王が6脚すべてを左右に垂らす姿勢も類例が少なく、東博解説では「なにか特殊な典拠があったかもしれません」と解説しているがこれも私は自由な表現とみた。非常に興味深い仏像群であった。
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