2021年11月13日土曜日

京都・奈良2021②(霊山寺の十一面観音)

 

京博の井上正氏の名著「古佛」には、通常の美しい仏たちとは次元の異なった世界で創り出された多くの仏像が紹介されているが、まだ訪れたことない霊山寺(りょうせんじ)を旅に出る前調べていた時、たしか「古佛」で紹介された仏像だと思い出し、霊山寺十一面観音のページをコピーして旅だった。2日目(11月7日)の最初に訪れたのが霊山寺だった。入口で特別拝観券つきのチケットを購入して昨日の京都より紅葉の進んだ奈良の古寺の錦秋に彩られた坂道をあがり本堂に向かう。仏像がところせましとならんでおり中央の厨子には平安時代の薬師三尊、その周りには鎌倉時代の個性豊かな十二神将、大和地蔵十福霊場の鎌倉時代の地蔵菩薩から奈良時代の塼仏まであった。堂内にボランティアの方がおられ参拝した善男善女にわかりやすく仏像を説明されていた。この十一面観音を井上氏は童形系列とかかわりあいが絶無と表現されるように厳しいお顔されていた。ところがボランティアのおじさんにかかると「酔っ払いのおっちゃんがとっくりさげている」との説明だった。霊山寺には大仏開眼を務めたインド僧菩提僊那の墓所があり、創建は小野妹子の子小野冨人だというからものすごく歴史がある寺院だ。井上氏は「古佛」で十一面観音の由来を語る資料や伝承はないが菩提僊那とつながる可能性を考えてもよいと書いている。奈良にはまだまだ謎多き仏像や寺院があると感じた。仏像の写真の絵葉書を購入して寺をあとに西ノ京に向かった。


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