特別展「相模川流域のみほとけ」⑤(相模原普門寺の聖観音)
相模川流域のみほとけ展では住職でさえはっきり見たこともない、秘仏が展示されていた。相模原にある普門寺の聖観音もそのひとつで、いかにも秘仏らしい独特な雰囲気をもつ仏像だ。図録によると普門寺は愛甲郡にある古刹で天平年間に開創されたとのこと。本像は髪際高で三尺(104センチ余り)髻を結い、髪束を三段に表す珍しい表現だ。上半身に条帛と天衣、下半身に裙と腰布を着ける。腰をやや右にひねり、台座上に立つ。ヒノキの割矧造りとみられる。耳後ろから足に通じる線で前後に内刳りのうえ割首する。髪の毛筋彫りや薄い衣文線は丁寧に彫られ、顔が小さくプロポーションが整っており、平安時代後期の定朝様式を示すとのこと。数少ない定朝様式の仏像が実家の近くの町にあるとは驚かされる。海老名の龍峰寺を皮切りに相模川流域のみほとけを訪ねてみたいと思った。
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