2020年1月25日土曜日

東大寺ミュージアムの弁財天

東大寺ミュージアムには法華堂より移された仏像もいくつかあり、天平仏の
日光・月光菩薩もその一つだが、この弁財天も法華堂の梵天・帝釈天の巨像に隠れて目立たない存在だが、ここミュージアムでは光を放っていた。天平時代の塑像で白くたおやかな体形で、しかも塑像ならではの柔らかいニュアンスを表情にあらわし、先ほど見た日光・月光の苦み走った顔とは対照的だ。弁財天は像高219センチで顔と腕が補修され唐風の衣装を着てゆっくりと立つ。顔は張りのある丸顔で眼は半眼とし、鼻・唇も小振りで引き締まり、気品を感じさせる。下半身は細くしぼる形で、上体はやや反り気味である。こうした形は唐代貴婦人や高松塚古墳の壁画にも見られ、唐風を意識して造立されたと思われる。天平盛期の遺品として貴重な仏像だ。ずっと見ていたかったが、ほかの展示品も気になるので先を急いだ。

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