2020年1月5日日曜日

特別企画 「文化財よ、永遠に。」③(高成寺の千手観音)

「文化財よ、永遠に。」展では海の奈良、福井県小浜市から仏像が出展され
ている。それが高成寺の千手観音だ。平成26年に小浜を再訪した際、こちらの仏像の拝観を申し出たが一般公開の9月でなければ見せられないと断られた仏像だ。やっと念願かなって上野で拝観することができた。高成寺の千手観音は平安時代の頭から脚部までヒノキ一材から掘り出した一木造りの仏像だ。内部を空洞にする内刳りが行われていないことから九世紀の仏像だということがわかる。修理を手掛けた住友財団の報告によると古くは平安時代後期から江戸時代元禄年間にも何度も修理が施されており平成の修理の際、彩色を除去しており平安時代になかった彩色が施されていたが、平安創建当初の作風がわかるようなったことは望ましいことだ。修理の過程で元禄年間の修理の墨書が発見されたという。このように仏像の歴史と修理の過程が一緒に解説されより深く理解できてよかった。今後もこのような展示を期待したい。

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