2017年10月29日日曜日

運慶展④(長岳寺の阿弥陀三尊)

運慶展では第一章「運慶を生んだ系譜」として主に康慶の作品の展示があっ
たが最初に展示されていたのが、初めて玉眼が使用された奈良長岳寺の阿弥陀三尊だった。平成22年秋に長岳寺を訪れて拝観したが玉眼にばかり目を奪われ、その先進性に気付かなかった。展示解説によると肉付きのよい体躯や深く刻まれた丸みのある衣文などに、いちはやく鎌倉彫刻が先取りされているという。特に顕著なのが右ふくらはぎ上に表される三角形状の衣のあしらいで、康慶作興福寺不空羂索観音や願成就院の阿弥陀如来・浄楽寺の阿弥陀如来に継承されていくという。作者は奈良仏師で康助とみられ後継に孫の成朝ではなく康慶を選び慶派誕生のきっかけを作ったことで知られている。定朝様全盛の時代に康慶に己の先進性を継ぐものとして康慶を選んだことが作品でもよく分かった。

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