2016年6月12日日曜日

雪蹊寺の毘沙門天

若いころ四国を香川から徳島・高松と旅したとき最後に向かったのが高知市の
雪蹊寺だ。あまり期待しないで霊宝殿に向かいそこで出会ったのが運慶の長男湛慶の毘沙門天だ。このような都から離れた寺に湛慶の仏像がなぜあるのかと思った。毘沙門天の像高は166センチのほぼ等身大で残念ながら両手は失われているが、脇侍もすばらしい。毘沙門天像といえば運慶の願成就院の仏像が有名だが、湛慶の作風は運慶の力動観と快慶の絵画的な整斉感の融合にあり、さらに繊細・優美な王朝文化の伝統が加えられているといわれるが、有名な三十三間堂の千手観音などがその代表作だろう。本作も端正で迫力ある顔に優美さと柔和さを兼ね備えた名作だ。本作は来月イタリア開催の「日本仏像展」に出展され多くのイタリア人の心をつかむことだろう。

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