2015年4月21日火曜日

九州仏②龍岩寺

今日の午前中は大分の宇佐を中心に回った。最初に訪れた龍岩寺は十代のこ
ろ一度訪れたお寺だが、その時の印象が強烈でいまでも覚えている。朝一番でタクシーで向かい山中にある奥院礼堂を目指して、急な山道を登って行くこと10分、木々の間に岩に張り付いた奥院礼堂が見えた。喜びいさんで中に入ったが、中は以前より暗かったが、意外なことに、仏像の座るあたりは明るかった。昨日の大雨で外陣の窓を締め切っていたためだ。格子越しに内陣を覗いて息を飲んだ。三体の巨像が白い体躯から淡い光を放って鎮座している。向かって右から薬師・阿弥陀・不動の三体でどれも三メートル弱の坐像で、しかも簡素な木彫りである。螺髪の表現のない頭はこけし状になっており、彩色もなく彫りの浅い三体はまるで神像のようだ。神仏習合の宇佐にふさわしい仏像だ。三体の目の表現もシンプルながら巧みで、中央の阿弥陀は上まぶたのみが彫りだされ、いわばその影が思索にふけるような半眼に見える。思い切って訪ねてよかったと思った。立ち去りがたい気持ちのまま、宇佐の次のお寺に向かった。

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