2012年7月7日土曜日

定覚の弥勒菩薩(解脱上人貞慶展②)

解脱上人貞慶展で私が一番気に行ったのが、東大寺中性院弥勒菩薩だ。この仏像は近世以前は興福寺にあったと伝えられていて、「仏の瀬谷さん」の解説によると有力な慶派仏師の作という。別冊太陽「運慶」でもこの仏像が取り上げられており、運慶・快慶らと一緒に東大寺南大門金剛力士を製作した「定覚」(じょうかく)という仏師の説が取り上げられている。快慶のように宋風様式を取り入れているが、快慶とは別の個性が見られる。瀬谷学芸員の解説を読むと「意思的な表情、張りのある肉身表現、衣縁を細かく波立たせる着衣形式から慶派仏師の製作と考えられる」とのこと。小さな展示品が多い「解脱上人貞慶展」のなかで像高102センチと大きく見ごたえがあった。館内の中央に展示されているため、横からも後姿も拝めるのがうれしい。斜め横からこの弥勒菩薩を見つめながら、いつまでも眺めていた。

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