2015年に東博で「みちのくの仏像」が開催され2008年の夏から東北の仏像巡りをして来た私には再会した仏像や初めて見る仏像に出会ったいい展覧会だった。その会場の片隅に置かれていたのが、この青森恵光院の女神像だった。東博の図録解説によると「青森県三戸郡の南部町にある恵光院はもと長谷寺といわれ、霊峰・名久井岳の麓に位置しています。秘仏として尊ばれている十一面観音菩薩像は県下で屈指の古像として知られますが、ともに伝わった女神像は最近の調査で見いだされたものです。女神像は、頭からすっぽりと衣をかぶって座り、腕前であわせた両手を衣に包んでみせないため、全体のずんぐりとしたシルエットが際立ちます。衣からのぞく顔は、のびやかな円を描く眉に、目尻を下げた優しいまなざし、厚い唇とゆたかな肉づきの頬が印象的で、東北にに根差した母なる大地の神にふさわしい姿です。」とのこと。この女神像は古像だが、内繰りを施していないと思われたが背面に亀裂を施して正面の干割れを防いだという製作技法にまで触れている。本展の図録では「ふっくらした身体に大らかであたたかい表情は、幸福に包まれることを願った表れです。」と女神像とそれを祈った人々の思いに言及し「くらしに寄り添う仏像」というコンセプトで解説しており味わい深いものとなっている。いつか青森を訪ねることがあったら、恵光院を訪ねたいと思った。
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