特別展「大安寺のすべて」④伝不空羂索観音
ニコニコ美術館でN藤研究員が言っていたが、この伝不空羂索観音も8本の腕が後補で東大寺の不空羂索観音のようにひたいに第三の目がないことから尊名が変わった可能性があるとのこと。図録によるとまぶたのうねりが強く、面幅の広い顔立ちは大安寺の木彫群の中でも異色であり、太づくりの体つきも一連の木彫群にみる胴を絞って腹部の張りを強調した表現と趣を異にしている。太ももに別の衣をつけているように見えるのは大安寺の一連の仏像群に見られる裙を帯で締めて折り返す形式が崩れたものだとのこと。髻は荒彫した上に木屎漆を盛りつけて髪筋を刻むが、同様な手法は伝馬頭観音・十一面観音にも見られる。彩色は剥落が著しいが、着衣部に草花で埋めた丸文や小花文が見られる。さすが快慶でお馴染みの山口学芸員の解説だ。細かな描写によるこの仏像の全体像を説明する手法に舌をまいた。
0 件のコメント:
コメントを投稿