特別展「横浜の仏像」⑭(龍華寺の大日如来)
講演の中で山本館長も述べていたがまだまだ紹介したい仏像が目白押しなのが横浜の仏像展だ。ここで紹介するのは何度か訪れた金沢区の龍華寺にある鎌倉時代の大日如来だ。県立金沢文庫の「仏の瀬谷さん」の解説によると伝承では光背・台座は快慶、本体は運慶が手掛けたとあるが怪しいものだ。運慶作円成寺大日如来の系譜を引くもので、鎌倉時代前期に慶派仏師により制作されたことは確からしい。浄楽寺阿弥陀如来の上げ底式にして像内を密閉するところが、本像ありまず間違いないだろう。髻を高く結い上げ、左肩に条帛をかけ、下半身に裙をつけ、腰布を巻き、腕前で智拳印を結ぶ。細かい髪筋を刻む立体的な髻、玉眼を嵌入した意志的な面貌、胸をやや引き両腕前に空間をとった姿勢、両膝前に円弧を描く深く刻まれた衣文などが特徴とのこと。瀬谷さんの解説には触れていないが、モデルとなった円成寺大日如来は条帛を別材で製作しているが、この像では装飾として彫っているだけだろう。顔立ちが童形なところなど願主が女性であったのではないか。横浜の仏像を通じて日本の仏像史に思いをはせる時間だった。
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