2021年4月3日土曜日

特別展「横浜の仏像」⑩(西方寺の十一面観音)


 西方寺十一面観音を初めて見たのが2017年の特別公開のおりで、東日本大震災で足ほぞを損傷し自立できなかった像を横浜市文化財保護審議委員の山本勉先生の監修のもと再建された仏像だ。講演ではコラムを書いた萩原氏に遠慮してスライド紹介のみで多くを語らなかった。コラムでは西方寺がもと極楽寺の境内にあったが、鎌倉幕府の滅亡で寺勢を失い新しい地を求めて鶴見川上流の新羽の地に室町時代に移ってきたとのこと。ここには平安時代後期からあった観音院と称するお寺にあったため、制作年代は平安後期とされている。像高は1メートル余りでヒノキ材の割剥造り、素朴で穏やかな表情や控えめな肉どり、浅く柔らかい衣文表現が平安時代の仏像の特徴をよく表している。西方寺は桜や彼岸花が美し花の寺として有名でこのお寺にふさわしい花のような観音様であった。


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