なら仏像館の十一面観音
平成25年にはじめて「なら仏像館」(奈良国立博物館本館)で出会ったのが、こ
の十一面観音だ。芳香を発するビャクダン材を用いて一尺三寸という経典に忠実な高さで作られた奈良から平安時代に製作された重文の仏像だ。細身の体つきながらひじを外にはってゆっくり下ろす造形が平安時代の充実した威風を感じさせると奈良博のHPに書いてあった。小像ながら細かい装飾には目を見張るものがあり、東博東洋館で見た「三蔵法師の十一面観音」に通じるところがあるが、装身具の一部などに別材製のものを貼り付け、頭髪に乾漆を盛るなど、唐の作例にみられない技法が採用されており、日本国内での製作とする意見が定説だ。最近文化庁が発表したイタリアで開催される「日本仏像展」に出展される奈良博所蔵の十一面観音はたぶんこの仏像ではないだろうか。すばらしい造形で多くのイタリア人を感動させるに違いない。
0 件のコメント:
コメントを投稿