薬師寺の地蔵菩薩
法隆寺展に物足りなさを感じた私は、その足で東博本館の仏像コーナーが
ある11室に向った。そこで思いがけず地蔵菩薩と再会した。平成24年に県立金沢文庫で開催された「解脱上人貞慶展」で出会った薬師寺の地蔵菩薩だった。東博の11室では入り口から入ったすぐ近くの360度ガラス張りのガラスケースに展示の目玉となる仏像が展示される場合が多いが、今回は薬師寺の地蔵菩薩だった。雲の上の蓮華座(れんげざ)に立ち、左手に宝珠、右手に錫杖(しゃくじょう)を持ち、腰をかがめて歩む姿の地蔵菩薩。その像内には造立願文が納められており、仏師善円(ぜんえん)が造った像とわかる。金沢文庫で見たときは光背がなく展示されていたが、今回は放射線状の光背がついており一目では、以前出会った仏像とは思わなかった。私は再会した仏像を始めて出会ったと感じながら飽くことなくながめて、次の展示へと向った。
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