2013年3月23日土曜日

特別展「飛騨の円空」⑤

円空は歌人としても知られていて千七百余の和歌を集めた「円空歌集」が残されている。その円空が歌聖としてあがめていたのが、奈良時代の歌人柿本人麿だ。円空は生涯多くの柿本人麿像を彫って自ら寄進したという。荒子観音寺の人麿像には長いひげが彫られているが、この像にはない。この像の何と言ってもいいところは、その微笑である。それは展覧会図録を見てみるとよくわかる。ほとんどの仏像が微笑んでおり、会場全体がやさしい雰囲気につつまれる不思議な空間になっている。幼い頃母親をなくし、つらい目にあったからこそ多くの微笑みの仏像をのこしているのではないか。円空の人柄さえも感じられる展覧会場であった。

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