ボストン美術館展で神像のような仏像に出会う
ボストン美術館展で快慶の「弥勒菩薩立像」を見たあとこの仏像に出会った。一見してギリシャ彫刻の神像のように見えた。図録には唐招提寺の八世紀後半に造られた「伝薬師如来立像」や「伝獅子吼菩薩立像」を思いおこされるとある。たしかにほほの下膨れな感じなどが似ておりどこか大陸的な雰囲気を感じさせる仏像なので、ギリシャ彫刻のように見えたのだろう。小さめな頭部、腰高な長身、腰をひねる姿勢、さらに下半身につける裙(くん)のすその短い表現からは軽やかさを感じさせる。衣の表現もたくみで装飾性にとんでいおり、土門拳が絶賛してやまない神護寺の薬師如来に通じる壇像彫刻を取り入れていると思われる。頭部と体は一材から彫りだされている一木造りで、残念なことに足先はきられているが、穏やかな表情が魅力的な仏像だ。仏像の姿を目に焼き付けて会場をあとにした。
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