2011年1月22日土曜日

葛井寺(ふじいでら)の十一面千手千眼観音

近鉄の藤井寺でおり葛井寺はすぐ近くにあった。ここには天平時代造立の千手観音があり、毎月18日が御開帳の日にあたり、多くの参拝客が詰め掛けていた。特に4月18日は大法要にあたり敬謙な信者が熱心に祈りをささげる場となっている。私の隣の女性も経をとなえながら祈っていたが、こちらは仏像を興味本位で見にきているのがなんだか申し訳なく感じた。気をとりなおして仏像をみると頭に十一の化仏をいただく十一面観音で、聖武天皇の発願と伝えられている脱活乾漆像(だっかつかんしつ)。 まばゆい光背のごとく円形に広げられた千の慈悲の手は左右各19本の大手と左501本右500本の小手がある真数千手観音だ。大手には輪宝や宝鉢・羂索(けんさく)などの持物をもち、全体がバランスよくまとまっており仏師の力量を感じる。手前で合掌する真手は指先が触れあう刹那のかたちで、天平の匠が生み出した祈りの美だ。慈悲あふれる穏やかな眼差しもこの仏像の魅力のひとつだろう。境内にでると、うららかな春の光が満ち溢れていて、藤の花も満開でとても穏やか気分で寺をあとにした。

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