特別展「法然と極楽浄土」②(誕生寺阿弥陀如来)
法然が活躍した時代は保元・平治の乱や治承・寿永の乱など騒乱が多い時代だった。源平の一の谷の戦いで平家の公達敦盛を泣く泣く首をはねた熊谷直実の物語は有名だが、その直実が法然の下で出家し、熊谷蓮生法師として岡山の誕生寺や長岡京の光明寺を創建したことはあまり知られていない。誕生寺の創建は幼いころ争いに巻き込まれ父を亡くした法然が美作国稲岡庄に弟子の蓮生を遣わし、法然所持の仏像を持参した熊谷蓮生法師が屋敷跡を寺院に改めたことが始まりとのこと。本像は快慶一派によくみられる三尺阿弥陀で来迎印を結ぶ安阿弥様のヒノキの寄木造。解体修理の際、中から印仏が見つかり「法然上人御生所御本尊」の墨書があり当寺こそ法然の生誕地で、本像は旧本尊である可能性が高まった。製作背景に法然の百回忌を想定する説もありいずれにしても熊谷蓮生法師の活躍で誕生寺にある仏像かその小像を模して作った仏像であろう。歴史の面白みを感じて次の作品に向かった。
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