特別展「相模川流域のみほとけ」④(平塚・宝積院の薬師如来)
特別展「相模川流域のみほとけ」も明日で会期終了となるが、今回ご紹介するのは平塚・宝積院の薬師如来像だ。宝積院のご住職がニュースでいっていたが、こんな感染症蔓延の時代だから宝積院の薬師如来の写真を使ってほしいとのことで、博物館側もポスターや図録の表紙に使っている。第二章鎌倉時代の仏像のコーナーに150センチ余りの薬師如来像が展示されていた。図録によると平塚の鎮守梵天社の本地仏で内衣・衲衣・裙をつけ、両手を曲げて左手に薬壺を腕前にかかげ、右手は五指をのばして左手に添える。直立して蓮華座に立つ。寄木造りで頭部と体部ともに四材を田の字型に剥ぎ、内刳りを施し玉眼を嵌入する。表面に漆を施し金箔をはる。一般的な薬師如来は左手に薬壺をもち、右手で施無畏印とするが、本像は左手に薬壺を持ち、左手に添える形は2011年に東博開催「空海と密教美術展」で見た大阪獅子窟寺の薬師如来や滋賀西教寺薬師如来にあり、切れ長の眼は鎌倉浄光明寺の観音・勢至菩薩に通ずるところがある。これらは善派系統の仏師により造られたことが指摘されていることから、本像もその一群に加えられるとの神野学芸員の解説だった。会場では分からなかったが鎌倉や関西で見た仏像と平塚の仏像が一脈通ずることは「目に鱗」だった。明日まで開催中なのでまだの方はぜひ見てほしい。
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