2017年11月23日木曜日

運慶展⑥(瀧山寺の聖観音)

平成23年、県立金沢文庫で開催された「運慶展」には瀧山寺の帝釈天と
ともに聖観音の装身具も展示されていた。その後、瀧山寺を訪れ聖観音をはじめて拝観した時もつけていなかった。今回の東博開催の「運慶展」ではなんと聖観音に装身具をつけ展示されているとのことで、ひそかに期待していた。聖観音は像高175センチ弱で源頼朝三回忌供養のため頼朝の従兄にあたる僧寛伝が建立し、頼朝等身大の聖観音を造り、像内に頼朝の遺髪(あごひげとも)と歯が収められており作者は運慶・湛慶との記録がある。金沢文庫の「仏の瀬谷さん」によると自由にうねる天衣をはじめ、衣装の表現は高野山の八大童子のそれをさらに洗練された趣とのこと。問題の装身具だが当初は後補のものと考えられていたが、近年その大部分が造像当初のものという見解が示され今回の展示となった。唐草文様の光背としっくりして私も運慶がつけたと確信した。光背は東博法隆寺宝物館にある光背とそっくりで芸術新潮の「オールアバウト運慶」によると頼朝を聖徳太子になぞらえて、東大寺焼き討ちをした平家を廃仏をした物部氏との関係に重ねているという。いろいろ示唆に富む聖観音であった。来年の金沢文庫開催の「運慶展」では瀧山寺の梵天が展示されるとのこと。ここら辺を踏まえてじっくり拝観したいと思う。

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