2024年10月5日土曜日

特別展文明の十字路バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰②(弥勒菩薩交脚像)


 特別展「文明の十字路バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰」のメインビジュアルは平山郁夫シルクロード美術館所蔵のガンダーラ弥勒菩薩交脚像だ。バーミヤン大仏の西大仏は弥勒仏といわれバーミアンが栄える200年前にガンダーラで仏像が作られ始めておりバーミヤン弥勒菩薩の原型になったという展開だ。ガンダーラ仏は①頭髪を束ねたり、丸く結う形にする系統と②頭にターバン冠飾といわれる、冠帽状のターバンをつける系統に分かれるが、①は梵天(ブラフマン)②は帝釈天を表す。手塚治虫の「ブッタ」では若きシッダールタ王子の先生として謎のブラフマン先生が生老病死を教えるシーンがあるがそのブラフマンだ。欠落した手には水瓶を持ち弥勒菩薩を表す。この像の特徴は上半身裸で、三種の首飾りや聖紂飾り、臂釧などのの装身具(遊牧民に好まれるモティーフが含まれる)をつけ、左肩から右肩にかけて天衣をまとう。特に台座に腰をおろし、足首を支える交脚倚座と呼ばれる姿である。敦煌にも交脚弥勒菩薩が伝わっているが騎馬遊牧民の王侯像に由来する。東アジアで人々を救いに導く菩薩として幅広く信仰されるが、日本には交脚弥勒菩薩像は伝わっていない。私が思うには遊牧民にとっては交脚が正式な座り方でも正座で暮らしてきた日本人にはあわなかったからだろう。このようにこの展覧会はバーミアンではなくその周辺の仏像からバーミヤンの仏像を想像してみる作業の連続でU案内人もすぐに感想が出なかった。深く考えさせられる展覧会だ。






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