増上寺三解脱門
先週の土曜日「増上寺三解脱門公開」にあわせて仏像クラブで港区愛宕の寺社と三解脱門拝観に出かけた。愛宕神社の出世の石段などを巡り増上寺に着くと三解脱門に受付とロッカーが設置されており、U案内人の話ではカメラは持ってきてよいとのことで、身軽になりほぼ垂直な設置された階段を三解脱門にあがった。増上寺三解脱門は東京にありながら、関東大震災にも空襲でも焼けなかった奇跡の門で400年前の江戸が壇上に広がっている。中央に釈迦三尊、周りに十六羅漢が配され壇上にいた説明者によると室町末期から江戸時代にかけての製作とのことだったが、山本勉先生の「仏像」によると宿院仏所の宗院で美術史的には織豊政権から豊臣氏滅亡の慶長20年までの桃山時代、政治的には江戸幕府開設間もない時期につくられたとのこと。宗貞・宗院は奈良金峯山寺の蔵王権現を製作した仏師だが、荒らしい蔵王権現と違い徳川政権誕生で戦国が終了した当時の世相を反映してか穏やかな釈迦如来となっているが、山本先生によると、鎌倉時代初期の快慶作品に学んだ端正なまとまりがあり、奈良の地の長い造像伝統が突然花開いた観があるとのこと。よく見ると肩のあたりに快慶御得意の截金文様がほどこされている。このころは造仏活動も盛んで運慶の末裔七条仏師の東寺での活躍もあり注目すべき仏像は多い。これから東京の仏像も丹念に見ていきたいと思った。
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