2021年9月11日土曜日

特別展「聖徳太子と法隆寺」⑥(伝法堂阿弥陀三尊)

 
東博の三田学芸員がNHK日曜美術館や日テレ「ぶらぶら美術館」で聖徳太子と法隆寺展を紹介するときふだんお目にかかれない秘宝や金網越しにしか見られない仏像を間近に見れるまたとない機会といっているが、この普段非公開伝法堂の阿弥陀三尊もこのひとつだ。東京美術の「もっと知りたい法隆寺の仏たち」によると伝法堂の内部は中の間、東の間、西の間にそれぞれ阿弥陀三尊が安置され、前には梵天と帝釈天、如来が4体、地蔵菩薩一体、四隅に四天王が配されたにぎやかなお堂だ。中の間西の間の阿弥陀三尊は脱活乾漆造だがこの東の間阿弥陀三尊は木心乾漆で奈良時代の製作だ。第三章法隆寺東院とその宝物では奈良時代の聖武天皇周辺の女性から太子信仰の拠点東院へ献納された宝物を中心に展示されている。図録解説の執筆者奈良博山口学芸員によると伝法堂は聖武天皇の夫人橘古那可智(橘諸兄の娘か?)の邸宅を仏堂に転用したもので、展示品の阿弥陀三尊が当初より伝法堂にあったとのこと。腕前で説法印を結ぶ阿弥陀如来を中心に腰を内に捻った両脇侍が随侍するが以前は45度内向きに安置されていた。頭部の小さい均整のとれたプロポーションや両脇侍にみるしなやかな身体表現に奈良時代の典型が示されている。隣に展示されていたのは本尊の光背で宝相華文を透かし彫りにし、周辺に火焔上の唐草をあしらった豪華なつくりで奈良時代の光背が残る貴重な展示品だ。伝法堂にはまだま魅力的な仏像が多く展示され奈良大和路カレンダーに掲載された梵天など一度は目にしたいものだ。太子イヤーの今年の公開を願うばかりだ。



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