2020年4月27日月曜日

特別展「毘沙門天」⑧(岩滝山毘沙門堂の毘沙門天)

展覧会に行ったときには、必ず展示解説を見ることにしているが、2月に行っ
た毘沙門天展で実際の作品を鑑賞して、展示解説を読むことによってその魅力に気付くことができた作品に出会った。それが岐阜の岩滝山毘沙門堂の毘沙門天で像高150センチ余りの鎌倉時代の作品だ。わざわざ本屋で取り寄せ購入した「月刊大和路ならら」にもパンフにも写真が掲載されておらず、「奈良国立博物館だより」に写真のみ掲載されていたが、会場で展示解説を読むと彩色から奈良仏師ないし慶派系統の仏師の手になることが暗示されていると書かれている。足元の邪鬼は後補だが、三個の火焔光背は当初のものだ。腹帯に雷文繋ぎ文を表すことや、白ではなく赤い腹帯をまくのも例がなくこの像の魅力だ。冑には鋲状の突起を表し、正面に龍の顔を表すが、その頭上の二つの角がさながらクワガタのように見える。快慶得意の截金を採用していないことからも運慶・快慶の影響を受けない兄弟弟子の作品ではないか。随所に個性的な表現を取り入れた魅力的な仏像だった。

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