2014年4月5日土曜日

観音の里の祈りとくらし展②(丁野観音堂の十一面観音)

今回の「観音の里の祈りとくらし展」で1番印象に残ったのが岡本神社に隣
接する丁野(ようの)観音堂の十一面観音だ。全国的にも珍しい6臂(ろっぴ)の坐像の観音で平安時代の作。岡本神社は長浜市小谷にあり、あの戦国大名浅井長政の居城があったところからほど近い。観音像の背中の大きな割れは織田と浅井・朝倉連合軍が激突した姉川の合戦のおり、村人が避難させた際誤って落としたときできたという。像高は1メートルあまりと坐像としては大きく、髻を結い炎髪の忿怒相を表す頂上面と頭上面十面を配する。図録によると観音堂は住職を置かないため、「宮世話」と呼ばれる村人の組織が観音様を守っている。まさに今回の展覧会のテーマにふさわしい観音様だ。浅井の旧臣という気概をもって村人が交代に守っているという。穏やかで端正な顔立ちがその歴史を感じさせる仏像だった。

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